韓国・文在寅政権にとって「法相」は鬼門のようだ。秋美愛(チュミエ)法相に息子の兵役中の特別待遇、政府支援の制度を使った就職先の斡旋、娘の留学ビザの早期発給に圧力をかける──など複数の疑惑が浮上。9月13日には検察が息子を事情聴取する事態になった。
文政権では、前法相の曹国(チョグク)氏に息子の不正入試などの疑惑が次々と発覚し、剥いても剥いても疑惑が出てくることから「タマネギ男」と批判された。昨年10月に辞任した曹氏の後任に抜擢されたのが秋氏だが、同様の“身内びいき”疑惑が露呈し、多くの国民から「次は“タマネギ女”か!」との嘆息が漏れた。
元朝日新聞ソウル特派員の前川惠司氏が語る。
「秋氏は過去、何度も他人の兵役不正を厳しく追及した人物です。2002年の大統領選では、当選した盧武鉉・元大統領を応援し、対立候補の息子に兵役拒否の疑惑が持ち上がった際、批判の急先鋒として『しっかりと捜査をしないのか』『国政調査しろ』などと発言。
他にも、朴槿恵政権時代の秘書官の息子や、朴槿恵弾劾後の大統領代行の兵役不正疑惑も徹底的に追及した。この過去が国民の怒りを増幅させ、“大ブーメラン”となって自分へはね返っています」