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独走する原巨人 阪神の悪夢「33対4」の再現となる可能性も

セ界独走の巨人は日本一にまで手が届くのか(時事通信フォト)

セ界独走の巨人は日本一にまで手が届くのか(時事通信フォト)

 原辰徳監督のキャリアのなかでも、今シーズンの独走ぶりは特筆すべきものだろう。9月15日には巨人が優勝マジック「38」を点灯させ、開幕から72試合目でのマジック点灯はセ・リーグ最短記録だ。だが、実は「独走」と「日本一」は必ずしも結びつかない。早い時期にリーグ優勝を決めると、チームが目標を失ってしまい集中力が続かず実戦感覚が鈍ったまま日本シリーズへ突入することもあるからだ。

 過去の巨人の例をみても、1990年、2位に22ゲーム差をつけてリーグ優勝した巨人は、42日後の日本シリーズで西武に4連敗している。実戦感覚が鈍る問題は、いまの巨人にも突きつけられている。今季のセは「CS無し」という条件もつくからだ。

 2005年の阪神は10ゲーム差でセを制したが、日本シリーズで4タテを食らった。4戦の得点はわずか4点。対して失点は33点と、歴史的大敗だった。対戦相手のロッテは、CSの前身で、当時パにしか導入されていなかったプレーオフを2位から勝ち上がっての出場だった。監督として采配をふるった岡田彰布氏が語る。

「こっちは打線を組み替える間もなく一気にやられてしもうた。優勝が決まってずっと待っている間、宮崎のフェニックス・リーグに参加したりしたが、はっきり言って調整やからな。一軍の生きた球は打てん。やはりCSがあるかないかの違いは大きいで」

 ヤクルト、巨人、阪神で4番を打った広澤克実氏も同じ考えだ。

「セがCSをやっていなかった頃には日本シリーズまで“待っている”という印象がありました。選手は自分のやれることをやるしかなく、調子を上げるのではなく、維持するのが精一杯です」

 今季のパはソフトバンクとロッテの首位争いが続いている。11月6日のシーズン終了までもつれるとみられ、11月14日からCS(シーズン1位vs2位)、同21日から日本シリーズと、休養を挟みながら適度な緊張感を保って臨むことができる。このスケジュールが理想的とする見方もある。

 1991年、広島は日本シリーズ6日前のリーグ優勝という過酷なペナントレースを制したが、選手は満身創痍だった。正捕手だった達川光男氏が語る。

「ギリギリまで緊張感を持っていたことが裏目に出た。西武との初戦に佐々岡(真司)が投げたがクタクタで、初回にいきなり清原とデストラーデに本塁打。人間は適度な睡眠、適度な食事、適度な休養が大事といわれますが、選手も休みすぎてもダメだし、働き過ぎてもダメなんです」

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