多感な十代のころ、アイドルや俳優、ミュージシャン、アニメなど、何かに夢中になったことがあるという人も多いだろう。しかし、単なる“ファン”にとどまらず、自分のすべてをその対象に注ぐ、コアなファンもいる──。
松田聖子ファン歴40年で親衛隊のメンバーだった、薬剤師の女性・ジュンさん(53才)は、十代の頃からたくさんのグッズを購入し、そのお宝はいまでも専用の保管部屋にしまってある。そんなジュンさんは、絶対に手放すことができない、特別なお宝を持っているという。それは一体何なのか? ジュンさんが明かす。
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私にとって最大の「お宝」をご紹介します。時は中学3年にさかのぼります。親の伝手を駆使し、知り合いを通じて、聖子にプレゼントを渡すことができたんです。手作りのカバンなどと一緒に手紙を入れて。手紙には、「聖子が好きすぎて、勉強が手につきません」と書きました。
そうしたら、後日、私宛てに「蒲池」という名字のかたから封書が届きました。中を見ると、「聖子の母です」とある。
そう、お母さまが、わざわざ「聖子も心から感謝して居ります」とお礼のお手紙をくださったんです。
追伸にあった、「勉強は忘れない様にしてね」という一文を見て、「本物だ!」と確信しました。これこそ、オンリーワンの宝物です。
もう1つは、高2のときの想い出。
親衛隊のみんなで、聖子がレコーディングしているスタジオまで行ったときのことです。スタジオの前で待っていると、深夜12時頃、聖子が出てきて、「あら、みんな、どうしたの?」とうれしそうに声をかけてくれたんです。しかも一人ひとりに。
私はちょうどそのとき、自分で作った聖子のロゴ入りのバッグを持っていて、同じものを彼女にプレゼントしていたんですが、それを目にしたとたん、「あ、バッグ、ありがとうね」と聖子が私に声をかけてくれたんです。天にも昇るとはこのこと、私は舞い上がりました。そして「一生、聖子についていく!」と決めました。
あの瞬間があったからこそ、いままで生きてこられたと思っています。おおげさな、と思う人がいるかもしれませんが、ふだんの生活で嫌なことや落ち込むことがあっても、あの感激と喜びが私の活力の源となって、すべてを乗り越えていけるのです。聖子には心から感謝しています。
子供たちには、私が死んだら、これらのお宝を棺に入れてちょうだい、といまからお願いしているほどです。
【プロフィール】
ジュンさん(53才)/松田聖子ファン歴40年。中学卒業時に親衛隊レディースに入り、隊長も務めた。24才で結婚し、薬剤師として働くかたわら1男2女を育てる。
※女性セブン2020年10月8日号