“異端児”がついにメジャー制覇を成し遂げた。2位に6打差をつけて圧倒的な強さで全米オープンに優勝したブライソン・デシャンボー(27)。優勝インタビューで「自分は競技の常識を変えていると思う」と誇らしげにコメントした。
たしかにゴルフ界でその存在は異色だ。大学で物理を専攻したデシャンボーは、独自のギアやスイング理論を実践する。
「科学的な視点で突き詰める選手。ドライバーはロフトを5.5度まで少なくし、アイアンはすべて6番のシャフトの長さ(37.5インチ)に統一。パターは中尺を左腕に沿わせて固定して短く持つ。すべてが常識を覆すやり方です」(担当記者)
ただの変人でないことは、今回の全米オープン優勝で実証された。
「コロナによるツアー中断中は肉体改造に取り組み、1日6000キロカロリーを摂取して、体重は100キロ超に。それによって平均飛距離が20ヤードも伸びた」(同前)
そんなデシャンボーのゴルフから、何かを学べるのか。プロゴルファーの沼沢聖一氏はこういう。
「ロフト5.5度のドライバーは肉体改造によって手に入れたパワーがないと使えません。アイアンの長さを統一するのは理にかなった考え方ですが、アマチュアがそういうクラブを手に入れるのは難しい。
最も参考になるのはパターでしょう。中尺パターを短く持って、左腕に固定させてストロークする。パターのミスで多いのはストローク中に左の手首が折れたり、伸びたりしてフェースの向きが変わってしまうこと。中尺パターを二の腕に固定させて一緒に動かせば、フェースの向きが変わらず、右手の強さで距離を調整すればいいだけになる。ただ、パターのロフトは通常3~4度だが、デシャンボーのパターは6度もある。ロフトが立つハンドファーストになるフォームなので、特殊なパターを使っている。参考にする場合、注意が必要です」
ゴルフ界の“主流”になる日はやってくるか。