9月は相次いで大型台風が襲来し、天災列島に住む恐ろしさをあらためて思い知らされた。台風による自宅への被害をいかに防ぐか──それを探るには、同じように見えても「壊れる家」「壊れない家」に大きな違いがあると知ることが重要だ。
●玄関の扉は「引き戸」より「ドア」がいい
玄関の形状でも、台風や大雨による被害の度合いが変わってくる。NPO法人減災教育普及協会理事長の江夏猛史氏は、こう説明する。
「浸水するとドア式の扉は水圧により開かなくなる場合がありますが、壊れることは少ない。それに比べ、伝統的な日本家屋に多い引き戸は薄いガラスが使われていることが多く、水圧で割れやすいので屋内に浸水しやすい」
●「L字型」「コの字型」の住宅は危ない
L字型やコの字型になっている家は、台風に弱い傾向がある。
「L字の直角の部分や、コの字の内側は、風や雨の影響を受けやすく、結合部分にヒビが入ることが多い。ヒビから風雨が進入すれば、建物は傷んでしまう。こうした形の家には中庭があることが多いので、中庭側にも塀を建てるなどの防風対策を勧めます」(江夏氏)
●側溝の清掃が命運を分ける
台風やゲリラ豪雨での増水時には、排水しきれない水が側溝から溢れ出て、床上・床下浸水の原因となることがある。
前出・江夏氏は「道路を1本隔てただけでも、水が溢れる側溝と溢れない側溝がある」と語る。
「側溝から水が噴き出す原因として、降雨量だけでなく、土や砂利、落ち葉などが詰まっていることが考えられます。砂場や植木がある公園、グラウンドが近所にある家の住人は、台風の前に側溝にこうしたゴミが溜まっていないか確認するとよいでしょう。住宅の雨樋や排水溝も同様です」
※週刊ポスト2020年10月9日号