実りの秋、米どころの東北でも収穫が始まっている。新米を待つばかりの岩手県の蔵元を、テレビ岩手の中島あすかアナウンサー(24)が訪ね、地元で愛される日本酒の魅力を紹介する。
「わぁ、爽やかですね! 甘味も感じられて美味しいです。口当たりはとても滑らかですが、喉に入っていく時にキレを感じ、その後に続く旨味の余韻も素晴らしいですね。相性のよさそうな山菜をアテに、ゆっくり楽しみたいお酒です」
人生初の酒蔵見学で「百磐(ひゃくばん) 純米吟醸 橙ラベル」を口にした中島あすかアナは、満面の笑みでその味わいを表現してくれた。
「百磐」は、大正6(1917)年創業の蔵元、磐乃井(いわのい)酒造が100周年に合わせて生み出した。「次の100年も愛される酒を醸していく」との思いを込めて命名したという。阿部徳彦社長はこう語る。
「地元の米や水を中心に使い、地域に根差した酒造りを行なうという、創業以来の社是のもと誕生した銘柄です。岩手県産米はもちろん、岩手オリジナルの酵母『ゆうこの想い』と麹菌『黎明平泉』を使い、オール岩手にこだわっています。この橙ラベルに使用するのは岩手の酒造好適米『吟ぎんが』。酒米の種類や精米歩合などが異なる赤ラベルや黄ラベルもあります」
毎年11月から翌年2月末にかけて、大正時代に建てられた蔵の中で寒仕込みが行なわれる。年間の製造量は200石(一升瓶で2万本分)。1つの醸造タンクには約3500リットルのもろみが入り、最終的には3000リットルの日本酒となる。
ここで中島アナから、興味深い話が飛び出した。
「実は上司のアナウンス部長が『ゆうこの想い』の名付け親なんです。県工業技術センターが開発した新酵母の命名者を決める県の利き酒大会で準優勝し、新酵母で醸したお酒の温もりのある風味の特徴から、やわらかく女性的な味わいを名前に表現したそうです」