eスポーツを語る上で欠かせない存在が「プロゲーマー」だ。明確な定義は難しいが、メーカー主催の公式プロリーグに出場している選手のほか、プロチームに所属したりスポンサーから支援を受けていたり、2018年に設立された日本eスポーツ協会(JeSU)が認定・発行するプロライセンスを所有したりしている選手がそう呼ばれることが多い。
その数はここ数年で急増しており、日本国内でプロゲーマーとして活動しているプレイヤーは数百人、世界全体だと数千人から1万人以上存在すると言われている。
では、最初にプロゲーマーになった人間とは一体誰なのだろうか?
実は、世界初のプロゲーマーは「First professional videogamer」としてギネス世界記録に認定されている。その名はデニス・フォン(Dennis Fong)、プレイヤーネームはスレッシュ(Thresh)。
スレッシュは1995年にマイクロソフト社が主催したFPSタイトル『ドゥーム(Doom)』の大会で優勝して以降、1996年に発売された『クエーク(Quake)』というFPS(一人称視点で武器などを使って戦うシューティングゲーム)を中心に活躍。2001年に引退するまで大会で一度も負けたことが無く、世界初のプロゲーマーにして世界最強のプロゲーマーでもあった。1997年に行われた大会で優勝し、賞品としてクエークの開発者からフェラーリが贈られたことで話題を呼んだ。
アメリカの経済誌ウォール・ストリート・ジャーナルにスレッシュの特集が組まれたことがきっかけで、玩具メーカーのハズブロやインターネットプロバイダのアースリンクなど複数の企業が彼のスポンサーとなった。大会の賞金やスポンサーからの給与を合わせると年間で10万ドルを超える収入を得ており、「ゲームで生きていく」という概念を生み出したのは彼といっても過言ではない。彼がギネス認定されるに至った背景には、こうした数々の輝かしい功績や圧倒的なまでの実力があったのだろう。
2001年の引退後、スレッシュはゲーマー向けサービスなどをヒットさせ起業家として成功している他、世界で最も有名なeスポーツタイトルの一つ『リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)』には彼の名前を冠した「スレッシュ」という操作できるキャラクターが存在するなど、eスポーツの歴史に深く名を刻んでいる偉大なプレイヤーなのだ。