制作した作品がすべて完売する“完売画家”と呼ばれることも多い、画家の中島健太さん(35才)。情報番組『グッとラック』(TBS系)ではコメンテーターも務め、メディアでも活躍中だ。
そんな中島さんのライフワークになりつつあるのが、著名人の肖像画だ。ベッキーにはじまり、瀬戸内寂聴さんなど一筋縄ではいかない個性豊か、かつ豪華な面々が並ぶ。
「すべて、ぼくから依頼して描かせていただいているんです。著名なかたを描くことによって、ぼくを知ってもらいたいという想いがきっかけでしたが、いちばん最初がベッキーさんだったことがよかったと、いまは思っています。
ぼく自身もかつては、テレビの中の人は、別世界にいる超人的で、タフな人というイメージを抱いていましたが、それは間違いで、初めてベッキーさんとお会いしたとき、すごく華奢で驚きました。ほかの誰とも変わらない、普通の人間なんだと。再び立ち上がる彼女の姿を、ひとりの表現者として描きたいと思ったんですよね」(中島さん・以下同)
絵を描く対象は、有名な人よりも自分の琴線に触れた人を描くことに意味があると、考えている。そんな彼が、次に創作意欲をかき立てられたのが、あの瀬戸内寂聴さんだ。
「寂聴先生は、忖度とか損得勘定とかではなくて、徹底的に自分の生き方を貫いた人。それゆえに、批判され、仕事を失ったりもしましたが、それを貫いたからこそ、いま人々から愛されていると思います」
肖像画を描くときは、写真をもとにするが、必ずモデルになる人と対話し、人間像をつかんでから描く。写真は一面しか写していない。その人の人間性をつかんでいないと、カタチそのものは似ていても、肖像画に命は吹き込まれないと話す。
「寂聴先生との対話では、多くの気づきがありました。『自分はやりたいことはやったし、食べたいものも食べた。会いたい人にも会った』と、心からおっしゃった。それを聞いて、人生を振り返ったときに、自分の人生を生きたといえることが大切だと、つくづく思いましたね。
誰かにほめられたいとか、自分のポジションを失いたくないといった理由で心に嘘をついた選択は、後悔する。そういう生き方をしていたら、寂聴先生のようにはなれませんね」
【プロフィール】
中島健太(なかじま・けんた)/1984年12月10日生まれ、東京都出身。武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒。大学3年でプロデビュー。20代で日展の特選を2度受賞。現在までの制作作品は500点を超え、そのすべてが完売しており、『完売画家』として注目を集める。「#画家として生きるために」というTwitterが反響を呼ぶ。現在はYouTubeでライブペインティングを配信するなど、精力的に活動している。朝の情報番組『グッとラック!』(TBS系)では、番組のポスターを手がけるとともに、木曜日コメンテーターも務めた。
※女性セブン2020年10月15日号