「何となく体調が悪いけど、病院に行くほどではない」──ただでさえ億劫な通院を、院内感染への不安もあってためらう人が多いという。だが、そのことが命取りになるかもしれない。「些細な体調不良が、死に至る病のサインであることは少なくない」と、『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)の著者で循環器内科の名医・秋津壽男氏は言う。秋津医師の監修のもと、「絶対に見逃してはいけないSOSサイン」を紹介する。
「全身の器官は有機的につながっており、局部に生じた軽い症状が大病の兆候ということはよくあります」(秋津医師、以下同)
まず気をつけたいのは目の症状。目は脳と直結している重要な部位だ。視野が狭くなった、まぶたが重いなどの症状を「老眼」と安易に判断してはならない。
「脳腫瘍やくも膜下出血の兆候である可能性があります。脳内で腫瘍や動脈瘤ができやすい場所は4か所ほど。どれも視神経に近い場所で、目やまぶたを動かす神経や視界に関わる神経を圧迫し、様々な症状が出るのです。
目を半分ずつ隠して左右の見え方に差があれば、視野の欠損が進んでおり、脳に腫瘍がある可能性があります」
口から喉にかけての症状は、消化器系のがんのサインになる。
「胃腸の異常が消化器を伝わって口周りに湿疹としてあらわれることも。酸っぱいものにむせる場合は食道がんや咽頭がんの初期症状が疑われます。酢の臭いや酸が粘膜の荒れているところを刺激するからです。辛いものよりも『酸っぱいもの』に反応するのが特徴です」
※週刊ポスト2020年10月16・23日号