何か体に異変を感じても、面倒くさいからと病院に行かない人も多いだろう。ましてや、新型コロナウイルスの感染拡大で、“院内感染”を恐れて、病院から足が遠のいているというケースもあるかもしれない。だが、「些細な体調不良が、死に至る病のサインであることは少なくない」と話すのは、『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)の著者で循環器内科の名医・秋津壽男氏だ。秋津医師の監修のもと、「絶対に見逃してはいけないSOSサイン」を紹介する。
年を取ると肩や腕に出る痛みやコリ。痛みが「片側」か「両側」かに注目する。
「左肩にだけコリがあり、治まらないようなら心筋梗塞の可能性があるため、早いうちの受診を勧めます。心臓の痛みは左半身の痛みとして脳に伝わることが多い。肩に出やすいのですが、耳からへそあたりまでの左半身に痛みを感じたら心臓の異変である可能性があります。
両肩や二の腕を動かした時にピリピリした痛みを感じたら、胸膜にできた肺がんが疑われます」(秋津医師、以下同)
意外なサインがあらわれるのが「手の平」だ。
「肝臓の異常を示す黄疸は、まず手に出ます。手の平が黄ばんでいたら肝臓がんの可能性がある。冬場にみかんを食べる人も手の平が黄色くなりますが、見分けるポイントは、黄疸は濁ったオレンジ色になることです」
誰にでもある腹痛は「いつ、どの箇所に痛みが出るか」が重要。「油物を食べると右脇腹がシクシク痛む」場合は、胆石症を疑うべきだ。
「油物をよく食べる人は、胆嚢がより多くの胆汁を出そうと収縮する。そのときに胆石が管に入っていくことがあり、管の出口が詰まって胆嚢が破裂すると腹膜炎になってしまう。腹膜に炎症が起きると全身に菌が広がりやすく、敗血症で命を落とすこともある」
※週刊ポスト2020年10月16・23日号