キャンプブームの勢いが止まらない。日本オートキャンプ協会の推計によれば、2019年のキャンプ参加人口は860万人で、7年連続で増加している。何よりキャンプ歴が浅いビギナー層の割合が増えているというから裾野は広い。
「オートキャンプ場を中心に、トイレやシャワーなど、設備の整ったキャンプ場が増えてきたことがキャンプ人口を押し上げています」
こう語るのは、アウトドアスクール「有限会社ビーネイチャー」取締役の長谷部雅一氏だ。長谷部氏によれば、近年のキャンプ場は道具のレンタルや薪の販売などのほか、キャンプ場での遊び方まで教えてくれる施設が増え、「キャンプに対するハードルがどんどん下がっている」という。
しかも、キャンプを楽しむのは家族連れや若者グループだけではない、最近、ひときわ注目を集めているのが“ソロキャンプ”だ。
グループで行くキャンプは、テントの設営から料理、撤収までを経験者が中心となって行なうことが多いという。だが、こうした“ホスト役”は毎回ともなると負担が大きい。誰にも気兼ねなく、本来のキャンプを楽しみたいと思うキャンパーが増えたことに加え、ユーチューブやアニメ、テレビドラマなどで取り上げられて“ソロキャン”ブームに火が付いた。
「何を食べても、いくら飲んでも自由であるうえ、何もせずにボーッとしていることもできる。すべての時間を自分のために使って満喫できるのがソロキャンの最大の魅力です」(長谷部氏)
ブームを受け、コンパクトで使い勝手がよく、それでいて高機能というキャンプ道具が次々と登場している。誰もが手軽に楽しめる“新しい”アウトドアとして認知されるようになったソロキャン。中高年男性が“何もしない”という究極の贅沢を求めているのも納得だ。
※週刊ポスト2020年10月16・23日号