日々の生活のなかで、なんとなく感じる体の異変を無視していないだろうか──「些細な体調不良が、死に至る病のサインであることは少なくない」と、『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)の著者で循環器内科の名医・秋津壽男氏は言う。秋津医師の監修のもと、「絶対に見逃してはいけないSOSサイン」を紹介する。
体から排出される尿や便にははっきりと異変があらわれる。日々のチェックが欠かせないのだ。
「便は色と形・質感に注目しましょう。黒くて柔らかいなら胃がん、赤くて直径1センチくらいの細い便なら大腸がんが疑われます。胃がんの便が黒いのは胃酸の影響です。大腸がんによる便の血は赤い鮮血ですが、痔との見分け方がポイントになる。便をした際に、便自体は赤くなく、水が赤く染まっている場合は肛門からの出血であることが多い。便だけ赤い場合は大腸がんの可能性が高い」(秋津医師、以下同)
高齢者に多い頻尿にも気をつけたい。
「頻尿なのに量が出ないと、膀胱がんがスムーズな排尿を妨げている可能性があります。頻尿でも、毎回大量に尿が出るなら尿が作られ過ぎてしまう糖尿病などが疑われます。膀胱の検査は人間ドックや検診ではやらないことが多いので、気になるサインがあれば泌尿器科へ行きましょう」
起床時の足のむくみは腎臓からのSOSだ。
「誰でも通常、夕方には足がむくみます。それは重力で足のほうに水分がたまるから。一晩寝れば体が水平になり、足にたまった水分が体中に散るのでむくみはなくなるのですが、体内の水分量を調節する腎機能が低下すると、水分が多すぎる状態になり、むくみが治らないのです。悪化すると腎不全になり、人工透析が必要になることもあるので注意が必要です」
歩行時もサインが出る。
「歩く時に体が傾くのは脳梗塞の兆候です。一方向に転ぶようになるのもその前兆の可能性がある。普通に歩いているだけで息切れしたら心不全を疑うべき。4階までの階段で、2階や3階で一息つかないと上がれない場合は心不全の兆候を疑いましょう」
※週刊ポスト2020年10月16・23日号