『抱きしめたい!』、『101回目のプロポーズ』ほかトレンディードラマで一世を風靡した“トレンディー女優”がスクリーンに戻ってきた──。角川春樹が“生涯最後”の映画監督作品をしてメガホンを取った映画『みをつくし料理帖』で、4年ぶりに映画出演する浅野温子(59才)。彼女は原作のファンでもあるという。
同作は江戸・神田の蕎麦処『つる家』で女ながらに料理人として働く澪(松本穂香)が艱難辛苦を乗り越えながら、天性の料理の才で運命を切り拓いていく物語。劇中では澪が暮らす長屋の隣人で『つる家』の手伝いもしている、おりょうを演じる。
「おりょうは長屋代表として澪ちゃんをきちんと迎えて、長屋の人と人、『つる家』と食べに来てくださる人をつなげて温かい雰囲気を出せたらいいなと原作ファンとしては思っていたんですけれども、現場へ入って監督にすべて壊されました! 澪ちゃんが幸せになれるように彼女が料理を作れる場所を盛り上げていく存在でありたいと考えていたものの、『つる家』ではどちらかというとお客さんとのバトルになりまして(苦笑)。
常連客の清右衛門(藤井隆)とのかけあいは脚本が切れても監督からカットがかからずアドリブ合戦になっていて、最後はほとんどでたらめ。“誰か、監督を止めろぉ”と心の中で叫んでいました(笑い)。あまりにはっちゃけているのでおりょうが作品を壊していると言われたらどうしようかと心配で、私は番宣を控えた方がいいのではとひやひやしています」(浅野・以下同)
角川春樹がメガホンを取った同作には、薬師丸ひろ子、渡辺典子、石坂浩二、榎木孝明、鹿賀丈史ら角川映画の常連だった豪華メンバーが集結。『スローなブギにしてくれ』(1981年)で主演デビューをした浅野は、『天と地と』(1990年)以来30年ぶりの角川組参加となった。
「最後にご一緒できて光栄ですが、監督とは“お互いとし取ったね”という感じですよね(笑い)。角川監督と聞いて思い浮かぶのはとにかく怖かったということです。今回の現場では菩薩のように穏やかでしたが、監督デビュー作となった『汚れた英雄』(1982年)のときなどは怒鳴りまくっていて、あまりの厳しさに鬼が来たかと思うくらい。
だから『みをつくし料理帖』の最終日に私が考えてきた演技プランにNGを出されまくりながらも“温子はちゃんと考えてくるね”なんてほめてもらっても、最後の最後まで怖いなと油断できなくて」