本格的な秋の訪れを感じるようになり、肌寒い日も増えた。季節の変わり目には気温や湿度の低下によって、肌も敏感になりがちだ。特に秋は“秋の肌枯れ”ともいわれるほど夏のダメージが遅れてやってくる要注意な時期。実際、2018年にドクターシーラボが行った調査によれば、「秋冬に肌トラブルを起こしたことがある」と回答した人は約7割に及んだ。加えて、いまは“マスクによる肌荒れ”の可能性もある。
あいこ皮フ科クリニック院長の柴亜伊子さんは「今年の秋は、例年よりも肌の不調を感じやすい」と指摘する。
「これまでと違って、マスクをつけて過ごさなければいけないので注意が必要です。ただでさえ空気が乾燥するうえに、マスクの刺激が加わって肌トラブルが起きやすくなることが懸念されます」
一口にトラブルといってもさまざま。前出のドクターシーラボの調査によれば、最も多いのは「かゆみ」で、悩んでいる人は8割以上もいるという。
多くの場合、肌のかゆみは一時的な肌荒れや不調のことが多い。しかしその陰に、命にかかわる病が潜んでいることがある。
誰でも皮膚にかゆみを感じることはあるが、その原因のほとんどは、体に合わない化粧水などを使っていることで起きる“慢性的な炎症”だ。
柴さんは「皮膚や髪につけるものをすべて疑う」と話す。
「シャンプーや洗顔フォーム、ファンデーションなどのコスメが原因で、炎症を起こしているケースがほとんどです」(柴さん)
これからの時期は乾燥しやすくなるため、症状が肌に出やすい。亀谷診療所院長で総合診療医の亀谷学さんが言う。
「皮膚が乾燥すると、皮膚の表面が傷つき肌の感覚が過敏になり、かゆみを感じやすくなります。水仕事をする女性は、乾燥に洗剤の刺激が加わり、皮膚は肥厚し、強いかゆみを訴える手湿疹になることがあります。アトピー性皮膚炎も乾燥によって悪化します」
虫刺されかと思ったら肝機能が低下していた
単なる乾燥や“顔や体につけるもの”に原因が見いだせなければ、いよいよ体の内部からくる病気を疑うべきだ。皮膚そのものに原因があるのではなく、臓器に生じる不調や病が、皮膚に表れることがあるからだ。