ちょっとストレスが溜まっているだけ──そう軽くみていると、思わぬ病が進行しているかもしれない。緊急事態宣言下の春先から「コロナうつ」の深刻化が叫ばれてきたが、自粛ムード明け以降のほうが、うつ症状になる人が増えているという。
芸能界でも異変が起きている。7月18日に三浦春馬さん(享年30)が自殺して以降、9月14日に芦名星さん(享年36)、同27日には竹内結子さん(享年40)と、自ら命を絶つ悲劇が相次いだ。精神科医の香山リカ氏はこう話す。
「詳しい状況はわかりませんが、“コロナ後うつ”に近い状態だった可能性はあると思います」
警察庁の発表によれば、8月の自殺者数は前年同月比246人増の1849人に上った。
竹内さんのケースは、「死の直前まで食卓で一家団らんの時間を過ごしていた」と報じられており、彼女の抱える苦悩に、家族を含めて周囲が気付けなかったことが窺える。
「遺書も見つかっておらず、はっきりとした原因はいまだに分かっていません。第一発見者となった夫も、あまりに突然のことで憔悴しきっているといいます」(スポーツ紙デスク)
この「気付きにくさ」が、コロナ後うつの怖さでもある。
埼玉県在住のA氏(48・会社員)は、同居する父親(79)が発していた“サイン”を見逃してしまったことをいまも後悔している。
「父は地元公民館で週1回開催される体操クラブに顔を出すことが楽しみだったのですが、7月以降は休みがちになっていました。運動していないからか、食も細くなり、気付けば部屋にこもる時間が多くなった。
体を動かさないことで筋肉も落ちたのでしょう。8月のある日、階段で転んだ拍子に左腕を打撲してしまって……。行きつけの病院で形成外科の先生から言われたのが、『お父さんは体より心の問題のほうが心配です』という一言でした。精神面は専門外の先生でも、父と話したらすぐに異変に気付いたんですね。いつもは体操や将棋の話で盛り上がるのに、まったく会話が続かない、と。父は人知れず、コロナのストレスで心のバランスが崩れていたようです」(A氏)