日々の生活のなかで感じる「かゆみ」。適当にボリボリと掻いてそれで終わりだという人も多いはず。しかし、その「かゆみ」が重要な体の変調のサインとなっていることもあるという。
かゆみの症状は心身ともに体のバランスが崩れたときに起こる症状の1つだと考えられる。疲れやストレスで免疫力が下がったときに発症しやすい「帯状疱疹」もかゆみが初期症状だと亀谷診療所院長で総合診療医の亀谷学さんは言う。
「帯状疱疹は、体の右か左の片側の皮膚に、神経痛様の痛みや違和感とともに、かゆみを感じます。数日から1週間遅れて、小さな赤い水泡が出て診断されることが多いのですが、神経痛などのつらい後遺症が残ることもあるので早めに治療を開始することが重要です」
かゆみがサインとして出ている間に、治療することが理想のようだ。
鉄分不足で体がムズムズ
食生活の乱れがかゆみとして体に表れることもある。あいこ皮フ科クリニック院長の柴亜伊子さんは特に、女性に多い鉄分不足を挙げる。
「メカニズムはよくわかっていないのですが、湿疹のように目で確認できる症状がないのに、ムズムズするようなかゆみを感じるときは、鉄不足のことが多い」
コレステロールの下げ過ぎ
服用している薬が原因で、かゆみが出ることもある。柴さんが続ける。
「脂質異常症などでコレステロールを下げる薬をのんでいると、コレステロール値が下がりすぎてかゆみが出ることがあります。皮膚の保湿にはコレステロールがある程度は必要で、低すぎると乾燥してしまうからです」
亀谷さんは抗コレステロール薬に限らず、どんな薬でも副作用としてかゆみが出ると指摘する。
「薬が体に合わないときに、かゆみや発疹が出ることがあります。新しい薬をのみはじめたタイミングでかゆみが出たときは、すぐ医師に相談してほしい」(亀谷さん)