国内

首相任命拒否で注目の「学術会議」 研究者からも疑問の声

菅義偉・首相の学者たちに対する姿勢はどこまで発展するか

菅義偉・首相の学術会議の任命拒否が波紋を広げている

 菅義偉首相による日本学術会議の任命拒否問題に各界から批判が起きている。騒動の発端は、10月1日に『しんぶん赤旗』が〈菅首相、学術会議人事に介入 推薦候補を任命せず〉と報じたことだった。その後、野党やメディアは首相が任命拒否をした理由は何か、6人を候補者リストから外したのは誰か、などについて追及の度合いを強めている。一方、与党自民党は学術会議のあり方を見直そうと、改革のためのプロジェクトチームを立ち上げて議論を始めた。

 今回の「任命拒否騒動」とは別に、学術会議のあり方についてはアカデミズムの世界からも異議を唱える声が出ていた。戸谷友則・東京大学大学院理学系研究科教授(宇宙物理学)もそうした声をあげた一人だ。2018年9月の日本天文学会秋季年会で、戸谷教授は学術会議を批判する内容の講演を行なっている。

 当時、戸谷教授が問題にしたのは、学術会議が2017年3月に発した「軍事的安全保障研究に関する声明」だ。同声明は、1967年の「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を継承し、軍事的研究と見なされる可能性のある研究については、各々の学会等で適切性を審査する制度を設け、ガイドライン等を設定することが求められる、としている。

 同声明に対する戸谷教授の考えは、講演の後に刊行された学会誌『天文月報』2019年1月号に戸谷教授が寄稿した論考「学術会議声明批判」で知ることができる。

〈「いかなる軍事研究も禁止されるべきである」という考えが、現在の研究者あるいは一般社会の間で広くコンセンサスを得ているとは到底思えません。「軍事」と「戦争/平和」の関係はそう単純なものではないでしょう。戦争の惨禍が軍事によって生み出されるのは自明ですが、一方で、パクスロマーナの例を持ち出すまでもなく、平和を生み出し維持するうえでも軍事というものが大きな存在となっていることは、古今東西の人類史を見ても明らかです〉(『天文月報』2019年1月号「学術会議声明批判」)

 アメリカの圧倒的な軍事力によって現在の世界秩序があるのは事実であり(パクスアメリカーナ)、核開発や軍備増強を続ける周辺国に囲まれた日本で、研究者がみな軍事に関わる研究をやめれば平和になるという考え方は、むしろ危険ではないかと問いかけている。

関連記事

トピックス

天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン