巨人の大先輩・堀内恒夫氏に並ぶ開幕13連勝のセ・リーグ記録を達成した菅野智之(31)。13日の広島戦で14連勝に挑んだが、今シーズン初の黒星を喫した。このオフにポスティングでメジャー移籍を直訴する可能性も噂されている。
「菅野は順当にいけば2021年シーズン中に海外FA権を取得する。ちょうど同じ年に伯父の原(辰徳)監督の任期が満了するため、そこまでは巨人に残るという説も根強いが、一方で33歳からのメジャー挑戦では遅すぎるという声もある。
昨年オフに山口寿一オーナーは『今後個別のケースに関しては、(ポスティングを)検討していく余地は出てくる』と発言していますし、今年の菅野の活躍は、昨年に最多勝、最多奪三振、最高勝率の三冠を携えてポスティング移籍した山口俊(33)をはるかに上回る。原監督が今季の日本一を手土産にメジャー行きを後押しするかもしれない」(巨人担当記者)
球界ナンバーワン投手の呼び声高い菅野なら、契約内容は一体どれほどのものになるのか。MLB研究家の福島良一氏が言う。
「このオフにはヤンキースの田中将大(31)や、サイ・ヤング賞候補であるレッズのトレバー・バウアー(29)など大物がFA権を獲得します。菅野は彼らとならぶストーブリーグの目玉になる。5年契約で総額1億ドルが基準となるでしょう」
田中の7年契約・総額1億5500万ドル、ダルビッシュ有(カブス)の6年契約・総額1億2600万ドルに引けを取らない金額だ。
大きな期待がかかる菅野だが、メジャーという大舞台で結果を出すには懸念もある。NHKメジャー中継の元解説者で、ロイヤルズで日本人初の投手コーチを務めた高橋直樹氏が指摘する。
「野茂(英雄・52)、佐々木(主浩・52)、田中など、これまでメジャーで大成した日本人投手は共通してフォーク系の絶対的な決め球を持っている。菅野は投手としての総合力では図抜けているが、ウイニングショットは決め手にかける印象です。フォークやスプリットなど落ちる球をこれからどれだけ磨けるかがカギとなるでしょう。それができれば菅野の最大の武器であるコーナーに投げ分けるコントロールがさらに際立ってくるはずです」
メジャーの歴史に名を刻めるか。
※週刊ポスト2020年10月30日号