昨年から中国ドラマのリリース本数や発売されるムック本が一気に増え、ファンが急増したと実感している」と語るのは、エンタメ業界に20年以上携わり、中国ドラマを中心としたアジアドラマに精通しているライターの小酒真由子さん。
「『愛の不時着』などのヒットで、韓国ドラマの価格がますます高騰しているものの、韓国時代劇の制作本数が資金不足などで減少したことで、韓国時代劇ファンが中国時代劇に流れてきている印象があります。中国ドラマの価格も同様に上がりつつありますが、韓国ドラマに比べればまだ安いため、放送される機会が増えているようです」(小酒さん)
中国時代劇の新作や話題作に力を入れ、新規ジャンル開拓にも意欲的なデジタル放送局『BS12 トゥエルビ』編成部の森ひとみさんも、最近の中国ドラマブームを肌で感じている1人だ。
「2016年に『武則天─The Empress─』を試験的に放送して以来、いまでは韓国ドラマに匹敵するほど大きな反響をいただいています。あえて韓国ドラマと比べるならば、中国ドラマの魅力は次の3つ。【1】時代劇の圧倒的なスケール感が違う。【2】申し分ない美男美女の俳優陣。【3】映画並みの映像美や豪華なセットに衣装。そのほか、背景の時代考察もしっかりとされていて、時間をかけて台本が練られているなど、魅力が尽きません」(森さん)
森さんが1つめにあげた、時代劇の圧倒的なスケール感について、小酒さんは、
「4000年の歴史の中には、民族も文化も王朝も多彩でネタが尽きません。史実に沿って描く硬派な作品以外にも、日本や韓国ドラマではあまり見かけない“神話”を用いた時代劇の素材も何万年ものスケールで存在するので、とにかく話題が豊富なんです」
俳優については、
「中国の総人口は14億人といわれますが、中国全土から発掘された俳優陣は美男美女ぞろい! その顔面偏差値の高さは相当なもの(笑い)」(小酒さん)
しかも、顔だけではなく演技力にも定評がある。
「中国の場合、俳優になる人は大学で4年間、専門的に勉強している人が多いので、演技のレベルが高いんです。日本でいう日芸(日本大学芸術学部)のような名門の芸術学校がいくつもあって、熾烈な受験戦争があります。名門校を卒業した人ほどデビューするチャンスが高いのです」(小酒さん)