おむつからパンツに変わった幼少時以来、思えば誰とも情報を共有せず、私たちは独自路線でお尻を拭いている。その結果、かぶれやにおいのもとになる間違った拭き方をしている人もいるかもしれない。そこで専門家に“お尻”との正しい付き合い方を聞きました。
Q.「大と小で拭き方は違うの?」
A.「いずれの場合でも、ごしごしこすって拭くことは肌を傷める原因になる」
大腸肛門病専門医でマリーゴールドクリニック院長の山口トキコさんが、説明する。
「小の場合は、4~5枚重ねて折りたたんだトイレットペーパーで、そっと腟口のあたりを10秒ほど抑えて、水分をとりましょう。小だけなら、汚れはほとんどないので、温水洗浄の必要はありません」(山口さん・以下同)
では大便の場合はどうか。
「大も基本は同じで、同様に重ねたトイレットペーパーで10秒ほどじっと押し当てて、汚れをぬぐいとるだけで充分です。それでも汚れがとれない場合は、2~3回繰り返してもかまいませんが、こすらずにじっと押し当てること。温水洗浄便座であれば、10秒ほど温水をあててから汚れをぬぐいとると、きれいになります」
ゴシゴシこすると、肌を傷めるだけでなく、お尻にペーパーのくずなどがついて、さらに肌荒れの原因になるので注意を。
また、入浴時に石けんなどをふわふわに泡立てて、なでるようにして局部を洗うのもおすすめ。
Q.「拭きすぎてお尻がヒリヒリ…。どうすればいい?」
A.「1~2日でひりひりが治まらなければ、肛門科か皮膚科を受診しよう」
「拭きすぎると、血栓性外痔核ができる人がいます。特に更年期を過ぎて、女性ホルモンが低下すると、粘液も薄くなり、腟やお尻のあたりも乾燥しやすいので、拭きすぎは厳禁。もしも2日ほど痛みがひかない場合は、肛門科を受診してください。なお、かゆみが伴う場合は、刺激を受けると余計にかゆみが強くなるので、温水洗浄便座の使用は控えましょう。治療ではステロイド軟こうや抗アレルギー剤などを処方して、炎症を抑えます。
また、皮膚がただれた場合は皮膚科に相談を。ステロイド軟こうなどを処方されるかと思います」
いずれも自己判断せずに、必ず専門医に相談しましょう。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2020年10月29日