連続ドラマ『極主夫道』(日本テレビ系)が、初回から世帯平均視聴率二桁をキープし好調を続けている。SNS上には放送中から「笑い過ぎてる」「笑いが止まらない」などの言葉が並び、ハマる人が増加中だ。“極道コメディ”はなぜ笑いを生むのだろうか? コラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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玉木宏が極道から足を洗って専業主夫になった男・龍を演じて話題のドラマ『極主夫道』。かつて“伝説の極道”と呼ばれた彼の周囲では、常に思わぬドタバタが巻き起こる。ついこの間まで高橋一生と双子役で竜の道にいた玉木が任侠の道でも龍になっているというのも面白い。
極道を主人公にした映画やドラマはこれまでにもいろいろあったが、ここ数年、コメディが人気だ。浅田次郎原作の三度目のドラマ化となった2017年の『プリズンホテル』(BSジャパン)は、生真面目なホテルマン花沢(ココリコ・田中直樹)が「支配人になれる」と喜んで務めた先がオーナー(柄本明)も従業員もすべてこわもての怪し気なホテル。
いきなり「組はどちらで?」と聞かれ、「どう見てもあちらの方なんですけど」とビビる花沢のところに、雲隠れ中の演歌歌手(映画『極道の妻たち』でも知られるかたせ梨乃)や警察の団体、ホテル乗っ取りを企む元極道などワケアリ客が次々やってきて、ドスあり、日本刀あり、機関銃あり、ダイナマイトあり!?の大騒動が続く。
また、昨年公開の映画『任侠学園』は、世直しが大好きという組長(西田敏行)の意向で、借金で倒れかけた学校再建をすることになった組の面々(西島秀俊、伊藤淳史、池田鉄洋ら)の奮闘を描く。
極道コメディの一番のポイントは、怖い顔とやってることとのギャップだ。黒シャツに黄色いサングラス、口ひげに鋭い眼光で、どう見ても「現役」に見える龍がエプロンをして、かわいい弁当を作り、ママチャリを飛ばすだけでも笑える。龍が「ヘタこいてしまった」と血まみれ?と思ったら、暴れネコのせいで赤ワインを頭から被った状態だし、「独自のルートでどえらいブツが」と言うので、何かと思ったらとげとげの皮つきランブータンだった。
一方で家事下手の愛妻・美久(川口春奈)が作った黒焦げのナポリタンを「ええ歯ごたえや」「ほどよい苦味や」とせっせと食べる。彼の決めセリフは「主夫、なめたらあかんぜー!!」である。