食品メーカーにとって、商品パッケージにどんな色を使うかは、重要な販売戦略である。パッケージの色ひとつで、商品の売れ行きが大きく左右されることもあるのだ。
「腐敗」をイメージさせる色として、食品関係に寒色の青を使用するのはタブーである──そんな業界の常識を覆したのが、1980年に発売された大塚製薬の「ポカリスエット」だった。
あえて青を採用したのは、ポカリスエットが水分や電解質(イオン)補給の飲料というコンセプトをクールでシンプルに体現するためだった。生命のルーツである海の青と波を表わす白を用いたデザインは、現在多くの人々の支持を得ている。
245ml缶で発売されたポカリスエットだが、初年度は消費者に受け入れられず、体感してもらうためにあらゆる発汗シーンで3000万本ものサンプルを配布した。現在のスタイリッシュなデザインは、2016年にグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞した。
一方、“ミルク”のイメージから“白”のパッケージが多いヨーグルトにあって、ひと際存在感を示すのが明治プロビオヨーグルト「R-1」だ。
6000種以上の乳酸菌から選び抜かれた1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルトで、2009年に発売。それまでにない健康価値を打ち出すため、パッケージに赤を採用。商品の性質が広く知られると、店頭から商品がなくなるほどの売れ行きとなった。
ドリンクタイプは、ドリンクヨーグルト市場で累計販売金額国内1位を記録(インテージSRIドリンクヨーグルト市場2018年8月~2019年7月累計販売金額)している。
※週刊ポスト2020年10月30日号