オフィスの家具は、グレーや白といった単調な色合いが多い。「働き方改革」の声が高まり、新たなオフィス環境が求められるなか、オフィス環境関連事業を手掛ける内田洋行は2009年に発売したオフィス家具「レムナシリーズ」を2017年全面的にリニューアルした。
2016年までは、オフィスの机・テーブルといえば脚の部分も含めて“白”が一般的だった。しかし、「レムナシリーズ」では、木材を使用した天板の脚に木質系の素材の色と相性のいい“黒”を取り入れたのである。木材に合うよう、黄色を混ぜた暖色系の黒は、同社が独自に開発したものだった。天板には、木目のほかに、指紋がつかない素材を用いたモデルもある
「色を変えることは製品をがらりと変えてくれますが、逆に放っておくと時代遅れになってしまいます」(同社プロダクトデザイン課・齊藤治宣課長)
オフィスにカジュアルな空間が求められていたこともあり、新製品の発売後1年で、売り上げは2倍に急伸。2019年には4倍となる9000台となり、その半数以上を、黒を取り入れたオフィス家具が占めた。
家具の色の変化が、オフィス環境の変革のきっかけになっているのかもしれない。
※週刊ポスト2020年10月30日号