南海キャンディーズ・山里亮太(43)の勢いが止まらない。昨年は女優・蒼井優との結婚が話題だったが、その後も数多くのテレビ番組にレギュラー出演し続け、ラジオでも相変わらず活躍中だ。そんな山ちゃんによる短編小説をドラマ化した『あのコの夢を見たんです。』(テレビ東京系、毎週金曜深夜)の見どころについて、ドラマオタクのエッセイスト・小林久乃氏が綴る。
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テレビ東京のドラマは“攻め”の姿勢を感じられるので、昔から好きでよく見ている。例えば、良くも悪くも男女関係の深いところまで突いてきた『モテキ』(2008年)。2018年放送の『100万円の女たち』では、マンガ原作の世界観を軽く飛び越えて、借金、殺人、風俗……と放送できる限界ギリギリのドラマを制作していた。
コロナ禍でさすがにテレ東も疲れてしまったのか、最近ぶっ飛んだ内容の作品が少なくて寂しい思いをしているところに飛び込んできたのが『あのコの夢を見たんです。』(以下、『あの夢』略)だ。
大人が真剣に遊ぶと楽しいドラマが生まれた
『あの夢』は南海キャンディーズの山里亮太(以下、敢えて、山ちゃん呼びもあり)が、テレビ誌『B.L.T.』で連載していた小説がドラマの原作だ。豪華で旬の若手女優が、彼の創り上げた妄想の世界で、一話ごとに本人役のヒロインを演じている。それがものすごくくだらないけど、楽しい。
第一話のヒロインは、中条あやみ(23)だった。美しすぎる彼女は高校生活でモテすぎる自分に辟易していたところ、偶然フラれることができるアプリを知る。指示通りに男性に近づくと、中条は毎回男性にフラれる感動を覚えることができるという。なんとも凡人には理解し難い感覚が、山里ワールドの手に掛かると笑い……というよりは、視聴者に微笑が生まれる。
第二話では田舎の病院の受付をしていた芳根京子(23)が、突然ドラクエ風の勇者になってこの世の危機を救う話。ドラクエパロディといえば、テレ東の十八番のようなもの。そこに小説とのコラボが誕生したというわけだ。