スポーツ選手のスキャンダルが続いている。そのなかでも衝撃的だったのは、大学の運動部、なかでも名門と呼ばれるクラブから大麻の使用や所持が次々と明るみに出ていることだ。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために自粛生活が強いられた時期、ネットを利用した違法薬物販売が広がるだろうと予想されていたが、有名大学運動部の学生から次々と明るみに出ると予想していた人は少なかったのではないか。ライターの宮添優氏が、大学生、とくに運動部学生が違法なものを手にしてしまう背景をレポートする。
* * *
数多くのプロ野球選出を輩出したことでも知られる名門・東海大学硬式野球部に所属する複数の現役部員たちが違法薬物の大麻を使用していたとして、同大学が野球部の無期限活動停止を発表した。大学によれば、今月9日に部員が薬物を使用している可能性があるという通報を受け調査。大学が把握する以前から、そうした「噂」があったことも認めた。
9月には日本大学ラグビー部員が大麻を所持していたとして逮捕、10月に入ってからも近畿大学のサッカー部員たちが大麻を使用したとして、サッカー部の無期限活動停止を大学が発表、大学生による薬物事件が相次いでいるが、調べていくとこれが偶然とは言い切れないことがわかる。いったい何が起きているというのか? 一連の事件を取材している、全国紙社会部記者が説明する。
「コロナ禍によりSNS上での交流が以前よりも活発化した大学生や専門学生達の間に、薬物が急激に広まっています。SNS経由ですぐ買えたり、SNSを通じて誘われたナイトクラブのイベントや飲み会で薬物に手を出すパターンで、特に有名な運動部員が目立つのです 」(全国紙社会部記者)
いわゆる「巣ごもり需要」で、自宅などで違法薬物を使用するという例が増加している、といった噂は、学生に限らずとも存在したが、今回の騒動で「学生が目立つ」と言い切る証拠がある。それは、実際に薬物の売人たちが、コロナ禍ではなかった通常の生活では、薬物に手を出す機会がない有名な運動部員を狙い撃ちにする理由だ。
「暴力団など、反社会勢力がモデルやタレント、歌手などの芸能人に近づき、一般人に売る数倍で薬物を売りつける、この図式と似ています。有名運動部員をまず籠絡し、その周辺も落としていく。将来のある学生ですから、口も固いし、薬物のことをバラす、と脅せばいうことだって聞くんじゃないか、という考えですね。このようにして一気に薬物が広まり、すでに大麻以外の覚せい剤やコカインなどのハードドラッグを使用、所持していた学生がいるのではないか、という話もある。一連の捜査はほかの大学の運動部員にまで及ぶ可能性があります」(全国紙社会部記者)