年齢を重ねるほど、最愛の人を見送るそのときが現実になり、まだまだ長い女の一生はひとりになってからも続いていく──。「おひとりさま」になっても輝き続ける女性は、どうやって人生を楽しんでいるのか。
情熱的なフレーズが強烈なインパクトを残したデビュー曲『愛の奇跡』(1968年)で一世を風靡したデュオ・ヒデとロザンナ。イタリア出身のロザンナ(70才)は、ヒデこと出門英さん(享年47)と1975年に結婚、2男1女に恵まれ、歌謡界きってのおしどり夫婦と呼ばれた。だが、1990年にヒデさんに末期の結腸がんが発覚し、手術からわずか5か月で旅立った。
「それから半年ほどは、何もできなかった」
ロザンナはそう振り返る。
「夜、ひとりになると涙があふれてきました。あまりに悲しくて何も食べられず、ただお酒を飲むだけの毎日。ヒデの写真やビデオも見ることができず、彼の服はすべてイタリアにいる親戚に送りました」(ロザンナ)
だがある日、9才の長女が母にこう告げる。
「ママね、ママだけが悲しいんじゃないよ。私たちだって悲しいんだよ」
目からうろこだったというそのひと言で、子供たちのためにも立ち直る決意をしたロザンナは、『モーニングショー』(テレビ朝日系)のキャスターとして芸能界に復帰。歌手活動も再開し、女手ひとつで3人の子供を育て上げた。
シングルマザーとして走り続けたロザンナに、再び転機が訪れたのは5年前。同居する娘夫婦の独立を機に、65才にしてひとり暮らしを始めることにした。
「それまで息子たちとも一緒に住んでいましたが、そろそろ自分の人生を歩みたいと思い、『一緒に住むのを解散しよう』と提案しました。最初の1年は都心でひとり暮らしをしていましたが、孫の面倒を見る必要もあって、4年前に娘夫婦が住む郊外へ引っ越しました」(ロザンナ・以下同)
独身時代以来のひとり暮らしは、自由そのものだという。
「年を取ると、玄関で靴をそろえていなかったり、タオルを違う場所へ置かれるだけで気になって、その都度怒ったりしていたんです。それに疲れて、私は神様から“そろそろ自分の面倒に目を向けなさい”と言われたのだと思いました。ひとり暮らしについては、『母ちゃんその方がいいかもね』と、誰も反対しませんでしたが、息子からは定期的に『元気?』とメールが来るのでぜんぜん寂しくないし、むしろ自由奔放ですよ」