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嘉風が地元に4億円訴訟 コロナで厳しい引退力士の懐事情

引退会見では晴れ晴れとした表情だったが…(時事通信フォト)

引退会見では晴れ晴れとした表情だったが…(時事通信フォト)

 4億8100万円の損害賠償訴訟──訴えたのは元関脇・嘉風(現・中村親方)で、訴えられたのは地元である大分県佐伯市という異例の裁判だ。

 嘉風は昨年6月、佐伯市での合宿中のキャニオニング(渓流下り)の際の事故でケガを負い、右膝前十字靭帯損傷などの診断書を提出して直後の7月場所を休場。そのまま土俵に復帰できず、昨年9月に引退を表明した。

「引退会見では『市のPRのためのキャニオニングでの事故』と話していたが、恨み言はなかった。2015年には佐伯市から市民栄誉賞を授与された“地元の英雄”です。それがいきなり4億円を超える損害賠償ですから衝撃は大きい」(地元紙記者)

 11月8日からの本場所も観客を5000人に制限するなど、コロナ対応が続く角界だが、引退力士も苦しい状況にある。

「嘉風も、昨年7月に引退した安美錦(現・安治川親方)も、断髪式が延期となったままです。断髪式は最後の祝儀集めのイベントで、人気力士なら1億円近く集まる。嘉風はいま尾車部屋の部屋付きだが、尾車親方(元大関・琴風)はあと2年で定年。今の部屋は元関脇・豪風(現・押尾川親方)が継承し、嘉風はその時期に独立するとみられている。両国界隈なら相撲部屋のための土地建物で2億~3億円は必要になるだろう」(協会関係者)

 ケガで現役力士としての収入を失った上に、親方としても多額の費用がかかるわけだ。ただ、話し合いなどで解決できなかったのか。市に聞くと、観光ブランド推進部文化・スポーツツーリズム推進課の担当者が対応した。

「1月に通知書が届き、弁護士を通じて話し合ってきた。市としてはこじれている認識はなかったが、10月15日に訴状が届いた。4億8100万円は治療費、休業損害、後遺症による逸失利益、慰謝料などだそうです。

 合宿は誘致したが、キャニオニングは市のPRとして依頼はしていない。当日は朝稽古を一般公開し、朝食後はオフ。そのオフの時間にキャニオニングを楽しみたいとご本人が希望し、渓流下りをしたと認識しています」

 渓流下りは市が業務委託しているものだといい、7年で4000人以上が利用したが、他に大ケガをした人はいないという。

 元人気力士と地元自治体が争う異例の“ガチンコ裁判”、軍配はどちらに。

※週刊ポスト2020年11月6・13日号

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