スマホの使いすぎで「首や肩が凝る」という人は多いだろう。整体院「御影フィール」院長の鄭信義さんは言う。
「スマホを使っているときは、同じ体勢で体が固まった状態になるため、血行が悪くなります。しかも、下を向いた姿勢が続き、頭が前に突き出た『スマホ首』になりやすい。首や肩の筋肉だけが極端に緊張している状態が続くため、筋肉に疲労物質が蓄積され、“凝り”につながるのです」
たかが「凝り」、されど「凝り」。凝りによって引き起こされる症状は、重い。
「スマホ首の状態が続くと、首の側面にある胸鎖乳突筋、首の後ろの板状筋、第一頸椎付近にある後頭下筋群が大きな影響を受けます。凝りだけでなく、頭痛やめまい、吐き気を引き起こします。吐き気が起こるのは、猫背で胸が閉じられて肺が圧迫され、胃の圧迫につながり、消化不良や逆流性食道炎を引き起こすため。頭痛が起こるのは筋肉が固まって血液循環のポンプの役割を果たせなくなり、脳に充分に血液が届かなくなるからです」(鄭さん)
そうして引き起こされる頭痛は「緊張性頭痛」と呼ばれる。肩や首の凝りが悪化すると頭痛と吐き気が止まらなくなり、救急車で運ばれる人もいるという。ちくさ病院の総合内科医・近藤千種さんはいう。
「症状から医師はまず『くも膜下出血』などの脳出血を疑いますが、実際のところ、肩こりや目の疲れからくる『緊張性頭痛』だったということも多々あります」(近藤さん)
首には脳の血流を促す重要な血管が通っている。しかし、「スマホ首」あるいは「スマホ猫背」で脳への血流不足が続けば、高血圧の原因になる。最悪の場合、脳梗塞を引き起こす恐れもあるというから深刻だ。
※女性セブン2020年11月5・12日号