一月前に「初の総理大臣誕生」に沸いた秋田県だが、10月になって「感染症」の流行が深刻になっている。
県の保健・疾病対策課によれば、10月11日時点で今年の「梅毒」の感染者数は64人。統計開始以来最多となった2019年(28人)の2倍以上だ。感染症に詳しいマイシティクリニック院長の平澤精一医師が語る。
「梅毒は主に性行為を介して感染します。放置すると最終的には大動脈瘤や進行麻痺などの症状が出ますが、無症状期間も長く、その間に感染を拡大させるリスクがある。
感染者はここ数年で全国的に増加しており、国立感染症研究所の統計によれば、2019年は全国で6577人と5年前の約4倍に増えました。外国人観光客の風俗店利用や、SNSの発達などの影響が指摘されていますが、はっきりとした要因は分かっていません」
急増する秋田の感染者は40代男性と50代男性がそれぞれ13人と最も多い。国立感染症研究所は、「性風俗産業の従事者や利用者の周辺で感染が広がっている」と警鐘を鳴らしており、毎日新聞(10月17日地方版)でも、秋田市内の泌尿器科医の声を引いて、〈県内の感染者は性風俗店の従事者や利用客の周辺に多い印象〉と指摘した。
秋田での感染拡大の背景を調査すると、次のような声も聞こえてきた。
「東京の風俗嬢による“地方出稼ぎ”問題も懸念されている。春以降、コロナで東京での仕事が減った風俗嬢が地方の歓楽街に流れ込んでいる現状があります」(風俗店関係者)
風俗情報サイト『俺の旅』編集長の生駒明氏はこう語る。
「梅毒はその特性から風俗嬢にリスクが高いのは事実ですが、利用客から恋人や配偶者に広がるなど、今は様々な感染経路が考えられる。Go Toキャンペーンもあるので、“夜の街関連”にかかわらず県をまたいだ感染が増えていくと思います」
“梅毒パンデミック”はまだまだ続きそうだ。
※週刊ポスト2020年11月6・13日号