舞台『No.9 —不滅の旋律—』に主演することが決まった稲垣吾郎(46)に、放送作家の山田美保子さんがインタビュー。稲垣がいま思うことは?
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12月13日からスタートする主演舞台『No.9 —不滅の旋律—』で、3度目のベートーヴェンを演じる稲垣吾郎サン。ベートーヴェン生誕250周年という節目の年に演じられることへの喜びを語ってもらっていたら、最後はやっぱりプライベートのお話に切り込む山田でした……。
山田:『No.9 —不滅の旋律—』の再々演決定、おめでとうございます!
稲垣:ありがとうございます。ぼくも本当にうれしくて感謝の気持ちでいっぱいです。再演というだけでもありがたいのに、再々演というのは、そうはないだろうし、コロナ禍、大勢のキャストの皆さんと舞台の上に立つというのが簡単ではないこともよくわかっているのでね。
実は、ベートーヴェンの生誕250年の今年に、彼が35年間暮らしていた縁の地・ウィーンで公演するという話が着々と進んでいたんです。2018年の再演の前、BS-TBSの特番(『稲垣吾郎“運命”に出会う。~ウィーン ベートーヴェンの旅~』)でぼく、ウィーンに行ったでしょ? あれ、下見も兼ねていたんですよ。会場ももう決まっていて、ステージの上に立ったとき、過去のいろいろな想いが巡ってきたり、夢や希望で胸が膨らんで高鳴ったことが忘れられません。
ウィーンで公演すること、皆さんに言いたくて言いたくてしかたがなかったんだけれど(笑い)、コロナの影響で、それはひとまず延期ということになってしまいました。よくよく考えてみたら、ベートーヴェンのメモリアルイヤーに日本からやってくる座組を受け入れるって寛容というか……、なかなかないことですよね?
その代わりと言えるのか、NHKの『ベートーベン250』プロジェクトでアンバサダーをさせていただいていて、全世界の音楽家の皆さんが「No.1」に挙げていらっしゃるベートーヴェンの存在や、自身の作品を後世に残そうとガムシャラに音楽活動を続けてきたベートーヴェンへの理解をより深めようとしているところです。
錚々たるかたがたが口を揃えておっしゃるのは「あれほど人間味にあふれている人もいない」ということ。ぼくとしては、小中学校の音楽室に飾られている肖像画のにらみつけているような表情や、浮世離れした奇人変人的なイメージが強かったんですが、本当は愛に満ちあふれた、自身の想いへの執着がものすごい、こってりした人なんですよね。
ぼくはどちらかというと無色透明な人間なんで(笑い)。9月に発売したフォトエッセイ(『Blume』)の帯にも書いてあるでしょ? 「やりすぎない、でしゃばりすぎない」って(笑い)。まぁ照れ隠しかもしれないんだけれど、ガツガツしているようには見られたくなくて。