北朝鮮と国境を接する中国吉林省や遼寧省で、中国の警察に身柄を拘束された北朝鮮からの脱北者について、中国側が北朝鮮側に身柄の引き渡しを通知したところ、北朝鮮側が拒否していることが明らかになった。
中国側は脱北者を収容するスペースが限られているため、今後は脱北者の取り締まりを緩和する可能性があるという。吉林省の地元紙『長春日報』などが報じた。
吉林省当局は10月初旬、今年1月からこれまでに北朝鮮との国境地帯で身柄を拘束した200人の脱北者を北朝鮮当局に引き渡す、と北朝鮮側に通告。しかし、北朝鮮側は、政府の指示で現在中国との国境は閉鎖されており、彼らを受け入れることはできない、などと連絡してきたという。
また、遼寧省当局も最近、北朝鮮に対して今年2月から身柄を拘束している約20人の北朝鮮国籍の人民を送り返すと連絡したが、北朝鮮側からは返事はなく、なしのつぶて状態だという。
北朝鮮は新型コロナウイルスの感染が北朝鮮国内の脆弱な公衆衛生インフラを破壊する恐れがあることから、今年1月以来、国境をまたぐ貿易と人的交流を原則的に禁止している。
北朝鮮の政府関係者は脱北者の引き取りを拒んでいる理由について、中国当局に対して非公式に、新型コロナウイルスの感染リスクが大きいことや、朝鮮労働党の創立70周年の記念式典の準備と年末までの農業や工業などの生産目標を達成するための「80日間闘争」などで忙しいことを挙げている。