ビジネス

「袋麺離れ」から一転 即席ラーメン人気が再燃している背景

日本国内で発売された袋麺は246銘柄に及ぶ(2019年)

日本国内で発売された袋麺は246銘柄に及ぶ(2019年)

 温かい鍋物やラーメンが恋しい時季だが、街中のラーメン店ではコロナ禍の影響を受けた倒産が過去最高の勢いで続いている。一方、家で食べる即席麺の人気が急上昇。中でも袋麺の売り上げは一時販売量が落ち込んでいたものの、再びプラスに転じているようだ。袋麺人気復活の背景について、ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。

 * * *
 コロナ禍が長期化する中、飲食店の苦境が続いている。Go Toイートが話題になっているが、多くの店では客足は戻り切っていない。それどころか飲食業界は「飲食店の倒産 上半期392件 過去最高」(帝国データバンク/10月13日発表)という厳しい状況下にある。

 ラーメン店も深刻だ。帝国データバンクの調査では9月までに34件の倒産が発生し、過去20年で最多となりそうだという。コロナ禍の影響で飲食業界全体が売り上げ低下に見舞われている中、競争が激しいラーメン業界で他店との差別化ができず脱落していく店が続出しているのだ。

 その一方で元気なのが即席麺業界である。袋麺やカップ麺など即席麺事業を手掛ける上場4社の2020年4─6月期の即席麺事業の合計売上高は948億円となり、前年同期に比べ8.8%の増収となった。コロナ禍における“巣ごもり需要”の高まりが業績を押し上げたと見られている。

 業界大手の日清食品の4─6月期連結決算は、売上高が前年同期比13.9%増の1205億円、営業利益は2倍の174億円、純利益も2.1倍の120億円と絶好調だ。カップ麺、袋麺ともに日本だけでなく、中国、米国などでも売り上げを伸ばした。

 即席麺(カップ麺と袋麺)の人気化は総務省の家計調査(2人以上の世帯)でも明らか。2020年1─8月の消費合計額は4775円。前年同期の4124円に比べ、15.8%増。袋麺に限ってみると25.4%増となっている。袋麺人気の高まりが分かる結果だ。

巣ごもり生活で調理の手間も厭わず

 そもそも袋麺の市場規模はどのくらいなのだろうか。日本即席食品工業協会に問い合わせてみた。すると返ってきたのは想像をはるかに上回る数字だった。

・2019年度(2019年4月~2020年3月)/総需要17億1610万食、出荷額(推計)1279億1700万円

・2020年度(2020年4月─8月)/総需要8億8492万食(前年同期比35.9%増)、出荷額671億4000万円(同39.8%増)

 なんと、年間で17億食超の袋麺が人々の胃袋に収まっているのだ。スゴイ食文化である。今年の総需要はまさにコロナ禍におけるもので、5か月間ですでに昨年1年間の51.6%に達している。金額ベースでは52.5%で、今年度の1か月平均134億円は昨年度の106億円を大きく上回っている。袋麺人気の急上昇をハッキリと裏付ける数字だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

都内の人気カフェで目撃された田中将大&里田まい夫妻(時事通信フォト/HPより))
《ファーム暮らしの夫と妻・里田まい》巨人・田中将大が人気カフェデートで見せた束の間の微笑…日米通算200勝を目前に「1軍から声が掛からない事情」
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト)
《横綱昇進》祖父が語る“怪物”大の里の子ども時代「生まれたときから大きく、朝ご飯は2回」「負けず嫌いじゃなかった」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヤクザが路上で客引きをしていた男性を脅すのにトクリュウを呼んで逮捕された(時事通信フォト)
《ヤクザとトクリュウの上下関係が不明に》大阪ミナミでトクリュウを集めて客引き男性を脅して暴力団幹部が逮捕 この事件で”用心棒”はどっちだったのか 
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
新横綱・大の里(時事通信フォト))
《地元秘話》横綱昇進の“怪物”大の里は唯一無二の愛されキャラ「トイレにひとりで行けないくらい怖がり」「友達も多くてニコニコしてかわいい子だったわ」
NEWSポストセブン
ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
東京・昭島市周辺地域の下水処理を行っている多摩川上流水再生センター
《ウンコは資源》排泄大国ニッポンが抱える“黄金の資源”を活用できてない問題「江戸時代の取引金額は10億円前後」「北朝鮮では売買・窃盗の対象にも」
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン