「ジムニー」「ハスラー」の二枚看板を持つスズキの独壇場となっている軽SUV市場にダイハツが今年6月、新モデル「タフト」を投入した。発売前より“ハスラーもどき”と言われていたタフトだが、果たしてその実力はどうなのか──。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が試乗レポートする。
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最低地上高に余裕のあるモデルという点では、2012年に「テリオスキッド」がモデル廃止となって以降、8年のブランクを経てのダイハツ軽SUV復活劇となったタフト。果たしてどのような特質を持っているのか、600kmほどドライブして確かめてみた。
試乗車は上級グレード「Gターボ」の前輪駆動。オプションを含まない車両価格は160万6000円(消費税込み)だ。コースは東京を出発し、群馬北方の奥利根、片品村などの山間部を経て日光に抜けつつ東京へ帰着するという山岳ルートで、総走行距離は597.8km。
まずはタフトの総合的な印象だが、走り、快適性、エコ性能のバランスが大変良く取れたクルマに仕上がっていた。
走行フィールは「タント」や「ミラトコット」など同社のシティコミューターモデルと結構異なっており、ゆるゆるとしたSUVらしい動きが体現されていた。パワートレインはマイルドハイブリッド等の特別な機構は持たないが、燃費も全般的に良好で、お財布の心配をせずにロングドライブを楽しめる水準にあった。
車内は全車標準装備の「スカイフィールトップ」と銘打たれた大型サンルーフのおかげで開放感抜群。一方、後席は足元空間こそ十分だが着座フィールが平板なことに加えて閉所感もやや強く、前席重視のスペシャリティーカー色が濃いことが実感された。後席にはシートスライド機構がなく、大荷物を積む場合は後席の半分、ないしすべてを畳んで使うことになる。基本、1~2名で楽しむためのクルマと言えそうだった。