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壇蜜 岡本太郎美術館を訪れ「太郎さんも人間だった」と安心

1971年岡本太郎作『母の塔』『天空に向かって燃えさかる永遠の生命』などをイメージ

1971年岡本太郎作『母の塔』『天空に向かって燃えさかる永遠の生命』などをイメージ

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏とタレントの壇蜜という、日本美術応援団の2人が、日本の美術館の常設展を巡るこのシリーズ。2人は今回「川崎市岡本太郎美術館」を訪れた。

山下:川崎市岡本太郎美術館のシンボルタワーとして親しまれるのが高さ30メートルの大きな『母の塔』です。

壇蜜:生田緑地内という立地が生かされたスケールですね。『明日の神話』もインパクトがあります。左端に仲睦まじい3人の姿が描かれていますが、全体的に絵が暗く人が人でなくなっているような感じがします。

山下:真ん中で爆発しているのは核兵器で、人類初の水爆被害者となった第五福竜丸の船も右に描かれています。寄り添う3人は太郎という新しい生命の誕生を祝う両親と自分の姿を投影したのかもしれませんね。

壇蜜:禍を乗り越えた未来を照らす、希望の光──。

山下:そして人間の生き抜く力。この壁画は『太陽の塔』と同時期の作品です。

壇蜜:どちらも力強いメッセージを含んだ作品です。

山下:太郎は戦後挑みかかるように大衆を扇動し、「芸術はうまくあってはいけない、きれいであってはならない、ここちよくあってはならない」の3原則で衝撃を与えましたが、反動で日本古来の美しいものの存在が霞んでしまった。彼を理解するにはそうした負の側面も踏まえて向き合いたいと考えています。他方で権威への反発から、美術史の専門家が賞賛する水墨画の大家を頑なに否定してしまうような一面もありました。

壇蜜:信念を貫きつつも時には感情が先走ったと聞くと、太郎さんも人間だったんだとホッとしてかわいらしさを感じてしまいます。

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