与党・共和党や「トランプ・チャンネル」と言われたFOXニュースからも厳しい声があがり、ついにはファーストレディであるメラニア夫人が「敗北宣言するよう説得した」と報じられて、トランプ大統領はいよいよ外堀を埋められてきた。もはや一部の熱狂的支持者以外は「これは負けだな」と思っているのに、本人はまだまだファイティングポーズを崩そうとしない。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏が、その裏に2つの不穏な事情があるとリポートする。
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まずはFOXニュースの「手のひら返し」の続報から。すでにNEWSポストセブンで、FOXが開票速報でいち早く「トランプ劣勢」を報じて本人が激怒したこと、さらに、トランプ氏の「首席補佐官」とまで言われたアンカーマンのショーン・ハニティ氏の出番が減っていることはお伝えした。これに関して興味深い報道があった。
ピューリッツァー賞ジャーナリストでニューヨーク・タイムズのコラムニストであるモーリーン・ダウド氏が署名記事で指摘しているのだが、FOXが選挙特番で「トランプはアリゾナで勝てない」と他社に先駆けて報じたことについて、大統領上級顧問のジャレッド・クシュナー氏が、FOXオーナーであるメディア王、ルパート・マードック氏に抗議の電話をかけたというのである。マードック氏がどう答えたかは書かれていないが、番組の現場からは、「当落の判定は数学的な分析による専門家の判断だから責められるいわれはない」と突っぱねられたようだ。
ダウド氏とは個人的にも親交が深いが、とても慎重で思慮深い女性である。ここまで具体的に書くからには、かなり確度の高い情報をつかんだのだと思う。彼女の記事の通りだとすれば、FOXニュースは、すでに選挙前から「トランプ切り」を決断していたと考えられる。いつまでもトランプ礼賛をしていれば自分たちも危うくなると考えたのだろう。そして、FOXが舵を切ったということは、共和党主流派も同じだったことが推測される。FOXは、トランプ・チャンネルである前に共和党チャンネルだからだ。