商品がロングセラーになるにはワケがある──印刷博物館で開催中の「現代日本のパッケージ2020」でキュレーターを務める寺本美奈子氏は、
「時代を超えて長く愛される商品は中身がいいことはもちろんのこと、消費者に訴求するパッケージの存在も見逃せません」
と、商品の“顔”であるパッケージにスポットを当てる。例えば、三ツ矢サイダーの赤い矢羽根印やカルピスの水玉模様など象徴的なデザインは消費者の記憶に深く刻まれ、一目で何の商品であるかを連想させる。
「生活者に最も近いデザインとして、パッケージはそんな役割を担っています。その意味では時代に流されないことがロングセラーを支えるパッケージの存在意義でしょう。一方でライフスタイルや時代の流れに合わせて素材や表現を柔軟に進化させることも、優れたパッケージの条件と考えられます」(寺本氏)
この展覧会では、昔懐かしいパッケージを多数、公開。現在のデザインと並べることでパッケージの魅力に触れることができる。
そのなかから、いくつか代表的なパッケージについて紹介しよう。
●カルピス(アサヒ飲料)
カルピスは1919年の七夕に誕生し、パッケージの水玉模様は夜空に煌めく天の川(銀河の群星)に由来。発売当初の青地に白い水玉の包装紙柄は、カルピスの液色である白地に青の水玉へ模様替え。包装紙で瓶を包み上部をねじった形状を、現行のボトルデザインに継承している。