ナニワの企業で“最大のライバル”だった「阪急」と「阪神」。その2社が経営統合し、関西財界に衝撃を与えてから14年の月日が流れた。当時から現在に至るまで、阪急と阪神のブランドイメージは大きく異なっている。阪急阪神HD(ホールディングス)の百貨店事業を見ていくと、その違いが見えてくる。
大阪の中心「梅田」では阪急百貨店と阪神百貨店が長く対峙してきた。2007年に統合し「エイチ・ツー・オーリテイリング」傘下となったが、やはりカラーは大きく違う。
流通・百貨店業界に詳しい近畿大学の大内秀二郎准教授(経営学)が解説する。
「阪急百貨店は高級住宅地の印象が強い阪急沿線の住民向けに、先進のブランドを積極的に採用するなどファッションに強みがある。一方、阪神百貨店は庶民的な阪神沿線住民を取り込み、食料品売り場に力を入れ、『デパ地下ブーム』の火付け役となった。まったく異なるイメージだ」
デパートの“包み紙”ひとつとってもそうだ。
「阪急百貨店のすみれの花の包み紙は、お中元やお歳暮向き。見た目も綺麗やし、何より“あの阪急で買うたんですよ”と格好がつく。阪神の包み紙は、そうやねぇ……総菜向きってところかな」(大阪在住60代女性)
2012年に阪急百貨店うめだ本店が西日本最大の売り場に建て替えられ、通りを挟んだ目の前では2022年の完成を目指して阪神百貨店梅田本店が新阪急ビルと一体となる改装工事が進む。それぞれ大阪梅田ツインタワーズ・ノース(阪急)、同サウス(阪神)と改称される予定だ。
統合の象徴ともいえそうだが、カラーの違いは残る。改装済みの阪急は高級ブランド店が軒を連ね、部分開業中の阪神は立ち食いコーナーを新阪急ビルの地下1階に移動して営業を続ける。