中国では、地方政府の幹部が香港などに出張した際、習近平指導部の幹部らのスキャンダルなどを記した「発禁本」を買い求めて、荷物の中に隠してひそかに持ち帰るケースが多発。習近平指導部は、これらの幹部を解任するなどの厳罰に処していることが明らかになった。
湖南省の党幹部のお目付け役である同省規律検査委員会は公式ホームページ上で、同省長沙市の陳沢琿・元副市長が海外出張の折りに、「深刻な政治的問題を抱える本」を持ち込んだとして、副市長の職を解任されたことを明らかにした。また、陳氏は党籍もはく奪され、引退後に受けることができたはずの年金や退職金などを受け取る権利も失ったという。
同様の事件は安徽省淮南市でも起きている。同省の最高検察庁は最近、同市の副市長や同市人民代表大会(市議会に相当)委員長(議長に相当)、同市政治協商会議主席などの要職を歴任した李忠氏が「党の政治規律に違反し、深刻な政治問題を抱える書籍や雑誌を私的に持ち込んだ」との罪状によって起訴されたことを公にしている。
また、中国紙『新京報』では、四川省重慶市公安局の警備隊トップが「理想の信念を失い、当初の純粋な革命精神をなくして、深刻な政治的問題を持つ本を私的に持ち込んで、隠れて読んでいた」ことが発覚し、党籍はく奪や公職解任、汚職問題などによって起訴されたと報じている。
香港で出版されている中国政治の内幕を暴露した本のなかには、中国大陸では知りえない多くの内部情報が含まれており、地方幹部や企業家などはこれらの“発禁本”から指導部のスキャンダルを仕入れているとされる。習近平指導部はそういった暴露本などの扱いには神経質になっているという。とくに、2年後には党最高指導部が入れ替わる第20回党大会を控えていることもあり、女性関係のスキャンダルや汚職問題などは命取りになると、習近平指導部は一罰百戒の姿勢を強めているようだ。