広瀬すず(22才)、指原莉乃(27才)ら有名人のほか、アスリートもこぞって実践する健康法「腸活」。腸内の環境を整え、健康を保つという健康法だ。元サッカー日本代表MFが、第2の人生のキャリアとして選んだのも腸活だ。
「今日のうんちの色は?」、「腸が大事なんだよ」──。オシムジャパンの中心選手として活躍した鈴木啓太さん(39才)は幼い頃、調理師だった母からそんな言葉を投げかけられて育った。幼心に「母の教え」はピンとこなかった。だが、成長してサッカー選手として活動するうち、お腹の調子を整えると体調が上向くことに気づき、腸のコンディションに気を使うようになった。
鈴木さんが大きな衝撃を受けたのは、2004年3月にUAEで開催された、アテネ五輪アジア最終予選でのことだった。このとき、日本代表選手23人中18人が下痢を訴えてトイレにこもり、大事な試合を控えたチームが大混乱したのだ。
「遠征先で食べた食事か、水が原因だったのでしょう。トイレには便座のある個室が5つくらいあったのですが、キックオフ直前になってもすべてドアが閉まっていたことを覚えています。外で順番待ちをしている選手もいましたし、あちこちから『腹痛えな……』という声が聞こえてくるような、大変な状況でした。
現地ではみんな同じトレーニングをして、同じ食事をしていましたが、普段から腸を整えていたぼくはお腹を下しませんでした。この件でますます腸の大切さがわかるようになりました」(鈴木さん・以下同)
2015年10月、現役引退を目前に控えた鈴木さんは、アスリートの腸を研究するベンチャー企業「AuB(オーブ)」を設立した。アスリートの便を採取して、コンディションや競技力を向上するために必要な腸内環境を調べることが同社の主な業務内容だ。鈴木さんはできるだけ多くの検体を採取するため、旧知のアスリートを訪れて「うんちをください」とお願いして回った。