大相撲において横綱の地位は重い。降格がないため、“弱くなったら自ら辞めなければいけない”からだ。だが、日本相撲協会も師匠の親方も強く言えずにいる。そして、「横綱審議委員会」も責任を果たしていない──。
しかし白鵬と鶴竜、現在の両横綱はどうか。11月場所も揃って初日から休場し、途中休場を含めて白鵬が最近7場所で5回、鶴竜は7場所で6回目の休場だ。
「過去には7場所連続全休の貴乃花や8場所連続休場の稀勢の里(現・荒磯親方)の例もあるが、この2人は同じ部位のケガに長く苦しんだ。それに対し、鶴竜は左膝、腰、右肘など“ケガのデパート”と揶揄されるほど休場の理由が毎回違う。“皆勤なら優勝”のイメージの白鵬も、負けが込むとすぐに途中休場。覚悟を持って休んでいるとは思えない」(ベテラン記者)
引退後への思惑もある。鶴竜は師匠の井筒親方(元関脇・逆鉾)が昨年亡くなり、「井筒」を襲名する予定とされるが、帰化の手続きが進まない。
「このまま引退だと、日本国籍がないので協会に残れない。だから時間が必要。逆に白鵬は日本国籍を取ったが、年寄株がない。元横綱は株がなくても5年間は協会に残れるが、格好がつかないのだろう」(若手親方)
親方衆も弱腰だ。白鵬の師匠である宮城野親方(元幕内・竹葉山)は場所前に「来場所に進退をかけて頑張るしかない」と言及したが、翌日に「本意ではなく軽率だった」と撤回する騒ぎになった。
「白鵬の逆鱗に触れたのでしょう。協会側からも“親方とはいえ幕内在位2場所の者が軽々に横綱の進退を語るな”と叱られたようです」(担当記者)
※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号