全国で連日1000人を超える感染者が出るなど、新型コロナウイルスの「第3波」襲来が懸念されている。同時に危惧されているのがインフルエンザの流行だ。すでに、医療現場ではワクチンが足りないという声も上がり始めている。
そんな中、気になる情報が囁かれている。「インフルエンザに罹るとコロナに罹らない」という説がまことしやかに出回っているのだ。その根拠とされているのが「ウイルス干渉」という概念だ。関西福祉大学の勝田吉彰教授(渡航医学)が言う。
「あるウイルスに感染することで体内の自然免疫が活性化されるなどのメカニズムが働き、他のウイルスに感染しにくくなるという現象を指します。インフルエンザに罹っていると一般的な風邪に罹りにくいという研究報告があるため、新型コロナについても同様ではないかという推測がなされています」
とすると、インフルエンザの予防接種は「コロナ予防」の観点では逆効果になってしまうのか。
「ウイルス干渉を起こすのは体内で活性化される『自然免疫』であり、ワクチンで強制的に抗体を作る『獲得免疫』の場合には当てはまりません。そもそも新型コロナとインフルエンザの間にウイルス干渉があるのかもわかっていない。予防接種が逆効果になる可能性は限りなく低いでしょう。
インフルエンザと新型コロナはどちらも体外からのウイルス侵入を防ぐのが一番の予防法。やはり手洗い、うがいの励行と“密”を避けることが重要です」(同前)
いずれにしても、油断できない冬がやってくる。
※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号