新型コロナウイルスによって大打撃を受けた日本経済。会社をやめざるを得ない状況に陥る人も少なくないだろう。しかし、会社の辞め方、退職金のもらい方、年金受給の選択など、そこには多くの落とし穴が潜んでいる。
40代~50代のサラリーマンが陥ることが多いのは、リストラされたときの「会社の辞め方」という落とし穴だ。
退職時に会社から受け取る離職票に「会社都合退職」とあるか、「自己都合退職」かで失業給付をもらえる期間が大きく違う。
現在はコロナの影響で解雇や雇い止めになった場合は特例で支給期間が60日間延長されるため、会社都合は自己都合より失業給付の総額が最大180万円ほど多くなる。社会保険労務士の桐生英美氏が語る。
「会社の早期勧奨退職に応募した場合は原則会社都合退職となります。しかし、業績悪化で上司から退職を迫られたのに、『辞表を出してくれ』といわれ、自己都合退職にされるケースは非常に多い。会社側は社員を解雇すると厚労省の助成金の申請ができなくなるなどの不利益があるため、会社都合にしたがらない。離職する際に会社と交渉してコロナの影響による解雇(会社都合)としてもらうか、認めてくれなければハローワークに相談する方法もあります」
退職時にいわれるままに辞表を出すと、生活資金を200万円近くも損してしまう。下級転落の第一歩になりかねない。
※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号