自民党の岸田文雄衆議院議員(63才)に元衆議院議員でタレントの杉村太蔵氏(40才)が直撃! 第二次安倍内閣の後半を自民党政調会長としてサポートした岸田氏は、安倍政権末期に数々の貧乏くじを引かされた。「嘘をつかず、騙さず、人の悪口を言わず、手柄を横取りせず、人を批判しない」(岸田派の木原誠二衆議院議員)と側近から評される岸田氏が、権力をめぐって揺れ動く政治の狭間で葛藤する胸のうちを初めて明かした――。
超意外! 実は織田信長を夢見ていた岸田文雄
杉村:アメリカだけでなく、日本を含む世界中で分断が進んでいるとのことですが、どうすれば岸田さんの提唱する「分断から協調へ」が実現するのでしょうか。
岸田:成長の果実を一部の人間が独占するのではなく、適度に分配する必要があります。世の中には努力したくてもできない人もいます。コロナ下でも、巣ごもり需要で儲かる業界がある一方、観光や飲食などは大打撃を受けました。こうした業界を政治がサポートすることで国民が分断される状況を減らしたい。コロナ下で、自死が大幅に増加している、特に女性の自死がものすごく増えている。弱い立場の皆さんに目が届く対策を講じなければなりません。
杉村:まさにその考えで今年4月、自民党の政調会長だった岸田さんは、コロナで減収した世帯に30万円給付する案を主導して閣議決定にこぎつけました。ところが土壇場で全国民に一律10万円給付することになった。ぼくは派遣切りなどで収入がなくなって本当に困った人に30万円渡す元々の案が良かったと思います。困ってない人にまで一律10万円となったことが非常に残念でした。なぜひっくり返ったのでしょうか。
岸田:あれはさまざまな議論をした結果、与党としてトップ会談までやって決定したことです。与党みんなで話し合ってああなった。
杉村:ぼくは岸田さんが怒ったところを見たことがありません。怒った姿を見かけない政治家は本当にめずらしいです。でもあの時は正直、「それは違うんじゃないか」「ふざけるな」といった思いにはならなかったのですか。
岸田:(宙を見上げて)もちろん、そう思いました。だけど結論を出すのが政治です。いくら議論しても結論が出せなかったら政治ではない。政調会長は政策の責任者ですから、閣議決定の後に手続きをやり直して結論を出した……まあ、腹は立ったけどな(苦笑)。
杉村:やっぱり岸田さんでも腹は立ったんですか! ぼくは岸田さんは最強の中間管理職だと思うんです。上と下から挟まれてつらい思いをしても、壊すのではなくまとめる。まさに「分断から協調」。そうした調整能力が岸田さんの一番の魅力だと思います。腹は立ったけど政策の責任者としてまとめたなんて言葉を聞くと、シビレますよ。