ビジネス

終電繰り下げ決定の香川・ことでん 新駅も2つ設置する狙いは

高松琴平電気鉄道、通称「ことでん」は終電繰り下げを発表した(時事通信フォト)

高松琴平電気鉄道、通称「ことでん」は終電繰り下げを発表した(時事通信フォト)

 ネットではイルカをモチーフにしたマスコットキャラクター「ことちゃん」の当意即妙なSNSでの活躍などでも知られる、香川県の高松琴平電気鉄道株式会社、通称「ことでん」が、終電の繰り下げを発表した。全国的に終電が早くなる決定が続いているなか、なぜ繰り下げになったのか。ライターの小川裕夫氏が、人口減少と高齢化社会にあわせた暮らしやすい街づくりに取り組む高松市とことでんのチャレンジについてレポートする。

 * * *
 新型コロナウイルスの感染拡大を機に、多くの企業がテレワークを導入した。これにより、通勤需要は激減。緊急事態宣言の時期に比べると通勤客は戻ってきたとはいえ、元に戻ったとは言いがたい。そして、完全に元に戻る見込みはないと判断した多くの鉄道会社は運行本数を減らす減便、そして終電を早めるといったダイヤ改正を発表している。

 鉄道各社が横並びで減便・終電の繰り上げを発表する中、香川県高松市を地盤に丸亀市・さぬき市などに路線を延ばす高松琴平電気鉄道(ことでん)は、そうした流れとは逆の動きを見せている。

「太田駅~三条駅間に新駅となる伏石駅を11月28日に開業します。それに合わせてダイヤ改正も実施します。ダイヤ改正後は琴平線・長尾線・志度線の3線すべてで運転本数を増やし、終電時間も繰り下げる予定です」と話すのは、高松琴平電気鉄道運輸サービス部担当者だ。

 ことでんはコロナの影響を受け、減便を実施している。「11月28日のダイヤ改正で運転本数を増やすといっても、コロナ以前のダイヤに戻しているだけに過ぎません。それでも、以前に比べると9割の水準ですから、コロナ前よりも運転本数は少ないのです」(同)とのことだが、鉄道会社の多くがコロナ以前に戻すことなく減便や終電の繰り上げを実施していることを踏まえると、ことでんは異例の決断をしたといえる。

 東京や大阪とは異なり、地方都市の移動手段は自動車が主役。それは、香川県高松市でも変わらない。それでも、ダイヤ改正を機に、増便・終電の繰り下げを実施する理由は何だろうか?

「高松市は、以前から公共交通の持続可能性を探ってきました。少子高齢化はどこの地方都市でも悩ましい課題ですが、高松市はJR四国とことでん2つの鉄道が運行し、多くの路線が市内をカバーしているのが強みです。そのため、鉄道駅とバスを結ぶといった具合にネットワークの再構築に取り組めば、路線バスを効率よく運行することが可能です。そうした考えから、鉄道駅にバスターミナルを併設することが検討されたのです」と話すのは、高松市都市整備局交通政策課の担当者だ。

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン