コロナ禍で一変した生活様式のなか、終の棲家はどこに定めるべきか。50歳以上の男性300人を対象にした本誌・週刊ポストのアンケートで「夢の移住先」上位に選ばれたのは、「鎌倉」だった。
実際の暮らしやすさは先輩移住者に聞くのが一番。59歳で早期退職して鎌倉にペーパークラフトの工房をオープンさせた宮本昌城さん(61)が鎌倉の魅力を語る。
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50歳を過ぎたころから、「これからは70歳定年時代がやってくる」と将来について考えるようになりました。
自分の好きな場所で、好きなことをして生きていきたいと思い、59歳で世田谷区役所を早期退職して、昨年10月、御成町に鎌倉武士のペーパークラフトを制作・販売する「鎌倉歴史工房」をオープンしました。
住まいは以前から大船の近くですが、歴史が好きで趣味はヨットでしたので、工房は海が近い鎌倉を選びました。
鎌倉の魅力は歩くとわかります。桜や紅葉の時期はもちろんですが、初夏の山紫陽花や厳寒期の水仙や椿など、木々や花が暦の移り変わりを教えてくれて、色彩が豊かなので歩いているととても楽しいです。
同時に、自然だけではなく何気ない道や曲がり角や建物にも由緒や歴史が宿っています。かつて幕府があったことも理由のひとつかもしれませんが、住んでいる人が鎌倉らしさを残そうと協力し合っていることが伝わってきます。私も時間に余裕がある時は、北鎌倉駅から工房までゆっくり散策するのが楽しみです。
コロナ以前は、海外からの観光客もたくさん来ましたが、一本路地に入れば地元の人たちが常連の気のきいた店も多く、そんなところも大きな魅力ですね。
とはいえ、毎日の生活の中では苦労はそれなりにあります。でも、不思議なほどストレスを感じません。きっと好きな場所で好きなことをしているからなのでしょう。これからも自分のペースを崩さず、日々過ごしていきたいですね。
※週刊ポスト2020年11月27日・12月4日号