「小栗は本来、ハムレットをやるべき俳優であり、ロミオをやるべき俳優。ぼくは小栗にサブカルチャーをやらす気はない」──2016年5月に亡くなった“世界のニナガワ”こと、演出家の蜷川幸雄さん(享年80)は小栗旬(37才)のことを常々そう語っていた。来年2021年は、小栗の俳優人生の1つのピークになる。
「まずは2021年5月、大注目のハリウッド映画『ゴジラVSコング』が全米で公開され、追って日本でも上映されます。秋には、日本SFの古典大作ともいうべき名作ドラマ『日本沈没』の主演に決まっています。2006年に草なぎ剛さん(46才)主演で映画化されたときは総製作費約20億円。TBSが『半沢直樹』の枠で満を持してリメークします。
さらに2022年に主演するNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の撮影も秋には始まる。小栗さんは一気に日本を代表する俳優の地位に駆け上るはずです」(芸能関係者)
そんな小栗は『人生最高レストラン』(TBS系、10月24日放送)で誰よりも小栗の才能を見抜き、愛してきた蜷川さんとの秘話を明かした。
「出会いは18才のとき。初対面で蜷川さんから『お前面白いな。近いうちになんかやろう!』と誘われたそうです。蜷川さんからはいつも『楽なところへ行きすぎるな』と諭され、小栗さんはその言葉を『好きな仕事ばかりやっていると俳優として面白くならないよ、ということだったと思う』と回顧していました」(テレビ局関係者)
小栗は悔しさをにじませながら、「蜷川さんが亡くなる年の10月にやる予定だった『ハムレット』が自分の中でずっと残っている」と語った。蜷川さんの知人が語る。
「蜷川さんはシェイクスピア作品を数多く手がけ、『ハムレット』を5度演出しました。6人目のハムレットに小栗さんを起用し、それを自身最後の『ハムレット』にするつもりでした」
小栗は番組中、「お前のために(ハムレットの)いちばんいい演出を思いついたよ! だから楽しみにしててな」と言う蜷川さんの最後の電話がいまでも忘れられないと初めて明かした。
「死後3年半経ったいまも蜷川さんのことを話すのは、“いまの自分があるのは蜷川さんが育ててくれたおかげ”と感謝を忘れないからでしょう。実は今年2月、蜷川さんが主宰していた劇団の若手メンバーが新たな活動を始めたんです。新型コロナの影響で劇場は苦戦を強いられていますが、小栗さんの想いに、彼らも勇気づけられたはずです」(前出・蜷川さんの知人)
小栗は感謝の気持ちを胸に、蜷川さんが信じた通り、名優への道を着実に歩んでいる。
※女性セブン2020年12月3日号