新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。再び外出自粛の生活に突入するのではないかと不安な人も多いはずだ。
そして、同時に多くの人が頭を悩ませるのが、年末年始のスケジュールだ。ふるさと納税サイト運営「トラストバンク」が約1000人の男女に行った調査では、今年の年末年始に「帰省する」と決めている人は約3割で、前年から4割も減った。都内在住の20代A子さんも迷える1人。
「実家は徳島の田舎にあり、最寄駅まで自転車で30分かかる集落です。まわりはお年寄りばかりで介護施設に通う人もたくさんいます。両親に『年末は帰ろうかな』と告げたら、『東京から来るなんてとんでもない。あなただけは帰ってこないで』と強い口調で言われました。四国に住む姉夫婦は帰省を許されたのに、何とも複雑な気分です。介護施設にいる高齢の祖母とはそろそろお別れが近いはずで、いまのうちに会っておきたいのですが……」(A子さん)
千葉在住の40代B美さんも肩を落として語る。
「年末は秋田に住む夫の両親のもとに、中学生の子供たちだけでも帰らせようと思って連絡すると、『私を殺す気ですか! 周囲の目もあるので帰ってこないで』と義母が激怒。ウチは千葉の郊外なのでまわりに感染者が少ない。それでもリスクを恐れて子供だけ帰らせようとしたけど、向こうはだいぶ神経質になっているようです」
Go To見直しに戸惑うのは都内在住の30代C子さん。
「今年の正月から帰省していないので、年末は名古屋の実家に帰る予定です。少しでも接触リスクを減らすためGo Toで実家近くのホテルを予約したのですが、Go To一時停止が降って湧いて、どうなることやら。年末年始は料金は割高だし、実家に寝泊まりするのは感染や周囲の目が気になります」
かと思えば、こんな声も。
「毎年お正月は大阪にある夫の実家に帰省して肩身の狭い思いをしていましたが、今年は『お義父さんとお義母さんの健康が心配だから、どうしても帰れません』と言い逃れられます。結婚して初めて家でゆっくりできる年末年始になるかもしれません」(都内在住の40代D実さん)
年末年始に向け、人々の心が千々に乱れる。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんが語る。
「医学的には多くの人が移動すれば感染がさらに広がるのは当然です。ただ、家族に会いたいという気持ちや、経済を回すために旅行が必要なことも理解できます。年末年始に帰省や旅行をするなら、PCR検査を受けて陰性を確認してからにすべきです。検査の精度を上げるため、2回受けることが望ましい」
※女性セブン2020年12月10日号