何らかの理由で離婚を決断したならば、そこから考えなくてはいけないのがお金のこと。まず浮かぶのは「慰謝料」だが、それ以外にも、夫婦が共同で築いてきた財産を分ける「財産分与」、未成年の子供に対する「養育費」、厚生年金を2人で分ける「年金分割」などがある。
ただ実際には夫から1円ももらわずに身ひとつで離婚するケースが後を絶たない。本誌・女性セブンでは離婚女性200人を対象に行ったアンケートを実施。その結果によると、慰謝料の要求を「しなかった」と答えた人が約8割にのぼり、夫婦の預貯金や養育費などもらってしかるべきものでさえ6割以上が請求せずに離婚を選んでいる。兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所の弁護士・後藤千絵さんはいう。
「夫婦関係を続けるのがつらくて早く離婚したいと焦るあまり、準備や交渉をせずに離婚を選んで後悔する女性は多い。一度冷静になって第三者に相談し、状況を整理することが重要です」(後藤さん)
そして、少しでも金額を多く受け取るためには、自分から離婚を切り出すのを避けることが鍵になる。東京・豊島区のへいわ総合法律事務所の篠田恵里香さんはこう話す。
「慰謝料が跳ね上がるのは、片方が合意しない、いわゆる“泥沼離婚”のケース。相手が不倫して離婚の原因を作った挙句に別れたいと言ってきて裁判になっても、こちら側が同意しなければ離婚できない。そのため、手切れ金として相手が多額のお金をつむことが多いです」
医師の夫が不倫をして離婚を決意。8000万円相当の自宅マンションと高額な養育費を手に入れた田中優子さん(仮名・34才)も、まさに“手切れ金”だった。一度思い込んだら絶対に折れない夫の性格を熟知していた優子さんは、夫の申し出に簡単に首を縦に振らず、最終的に“言い値額”で決着をつけたのだ。
もし優子さんのように夫から離婚を切り出してくれなかった場合は、証拠集めや相手の財産を把握してから満を持してこちらから切り出すべし。証拠の集め方を篠田さんがアドバイスする。
「不倫であれば、肉体関係が推認されるLINEの会話を撮影するのが得策です。日本では著しく違法な手段で集めた証拠は裁判所が認めないため、別居中の夫の住居に忍び込んで集めた証拠などはさすがにNGですが、夫のスマホのロックを解除するくらいなら通常は証拠となります」