国内

ペットショップの「コロナ特需」と売れ残った動物たちの末路

世界中でペット需要が高まっている(イメージ)

世界中でペット需要が高まっている(イメージ)

 もともと動画SNSで動物、ペットは人気のジャンルだったが、新型コロナウイルスの感染拡大によってその傾向に拍車がかかり、リアルでペットを家に迎えたい人も世界中で増えている。日本のペットショップという業態そのものが動物愛護団体から批判を受けがちなこともあり、その好況が伝えられることは少ないが、ペット用品やペットフード、もちろんペットそのものも売れ行きが好調だという。ここで気がかりなのが、動物という成長する生き物を相手に、日用品のような在庫管理や棚卸しはできないはずということだ。俳人で著作家の日野百草氏が、元ペットショップ店員に「生体(せいたい)販売」の裏側を聞いた。

 * * *
「売れ残った子の行方ですか……」

 元ペットショップ店員、池野日奈子さん(31歳・仮名)の目が泳ぐ。現在はIT系の会社に勤めている池野さんは以前、ホームセンターにテナントで入っているペットショップの販売員をしていた。打ち合わせ後の雑談で日ごろの疑問を投げてみた。あの売れ残った子たち、犬や猫は、どこへ行くのか。

「これはご存知だと思うんですけど、まず値段を下げます。下げればお迎えがくる(筆者注:売れること)こともあれば、どんなに下げてもお迎えのない子もいます」

 池野さんは契約社員だったが店舗の管理なども任されていた。店にもよるのだろうが正社員の店長はいくつかの店を兼任しているため普段は契約やパートの非正規が中心だったという。実質的な責任者が非正規雇用というパターンは、この手の量販ペットショップでは珍しくないとも。

「動物取扱責任者って誰でもなれますからね。私だって何の知識もなかったけど半年働いただけで要件満たしましたよ」

 この辺、池野さんの知識は古い。ペットショップ開業に必要な行政への届け出の一つである動物取扱責任者には、これまでは業務に関する資格、実務経験、専門の教育機関を卒業の、いずれかを満たせばなることができた。だが今年6月1日の改正で「公平性及び専門性を持った団体が行う客観的な試験によって、営もうとする第一種動物取扱業の種別に係る知識及び技術を習得していることの証明を得ていること」が加わり、別途動物に関する資格が必要になった。学校を卒業しただけ、実務経験だけでは責任者になることができなくなったのだ。動物の販売や展示が認められる資格は約20あり、すべて民間団体によるものだ。

「そうですか。でもリスト見るとなんでもいいみたいですね。これの3級なんか落ちる人いませんよ」

関連キーワード

関連記事

トピックス

懸命のリハビリを続けていた長嶋茂雄さん(撮影/太田真三)
長嶋茂雄さんが病に倒れるたびに関係が変わった「長嶋家」の長き闘い 喪主を務めた次女・三奈さんは献身的な看護を続けてきた
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
中国・エリート医師の乱倫行為は世界中のメディアが驚愕した(HPより、右の写真は現在削除済み)
《“度を超えた不倫”で中国共産党除名》同棲、妊娠、中絶…超エリート医師の妻が暴露した乱倫行為「感情がコントロールできず、麻酔をかけた患者を40分放置」
NEWSポストセブン
第75代横綱・大の里(写真/共同通信社)
大の里の強さをレジェンド名横綱たちと比較 恵まれた体格に加えて「北の湖の前進力+貴乃花の下半身」…前例にない“最強横綱”への道
週刊ポスト
地上波ドラマに本格復帰する女優・のん(時事通信フォト)
《『あまちゃん』から12年》TBS、NHK連続出演で“女優・のん”がついに地上波ドラマ本格復帰へ さらに高まる待望論と唯一の懸念 
NEWSポストセブン
『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン