来年1月のバイデン米大統領(78)誕生を前に、米国で大麻合法化の動きが加速している。大統領選と同時に行なわれた住民投票で、新たにアリゾナなど4州で大麻合法化が決定。全米15州で娯楽目的の大麻使用が合法化された。ニューヨーク州でも、クオモ知事が大麻合法化を「優先課題である」と表明するなど解禁ラッシュが続く。
「今後、全米で大麻解禁となる可能性がある」と経済評論家の渡邉哲也氏は指摘する。
「もともとバイデン氏は薬物に厳しい立場。しかし、大統領選で大麻合法化を積極推進する民主党極左勢力の力を借りて当選したため、彼らの意見に耳を傾ける必要がある。連邦政府レベルでの大麻合法化の可能性が高まっているわけです」
ただし、全米での合法化には連邦議会両院の可決が必要。下院は民主党が多数派を確実にしたが、上院は来年1月5日投票のジョージア州の決選投票の結果に左右される。
「上院で民主党が多数となれば、米連邦レベルでも大麻合法化に向けた動きが加速する」(渡邉氏)
すでに解禁された州ではアルコール感覚で大麻をたしなむ人が増加。自分が住む州では違法でも、解禁されている近隣の州へ出かければ住民同様に楽しめるという。
「米国で大麻が合法化されれば、それに影響されるかたちで、日本でも解禁を求める動きが強まるだろう」(渡邉氏)
こうした動きについて、大麻所持の現行犯で逮捕された経験を持ち、インターネットで「合法化」を呼びかけてきた元女優・高樹沙耶氏(57)に意見を聞いた。
「そもそも大麻を占領下の日本で禁止したのは米国なんです。今後、日本でも大麻解禁の議論が進むと思いますが、米国のマネごとや言いなりではダメ。自分たちの国でどのように有効活用できるのか、きちんと議論や研究を始めてほしいですね」
意外に慎重な持論を語った高樹氏。たしかに安易な米国追従が禁物なのは安全保障や貿易政策に限った話ではない。
※週刊ポスト2020年12月11日号